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週100時間以上働くエリートほど出世しない理由「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(3/4 ページ)

» 2019年03月20日 05時00分 公開

「逃げる人」ほど「勝つ」?

 対照的に、本当にトップに立つ人ほど、ある意味うまく自分の「逃げ道」を用意している。自分がそのキャリアを愛し、うまくやれる自信があるからこそ、「仕事を嫌いになってしまわないような環境」を自らつくっているのだ。

 人生の伴侶との記念日があれば、上司にも譲らず事前に掛け合って時間をつくり、エンジョイする。重要プロジェクトで忙しかろうが家族の有事には必ず立ちあい、親友の結婚式にも駆け付ける。そして、自分が切羽詰まってしまい「何もしたくない」と感じたときには、無邪気なウソをついてでも、自分だけの時間を設ける。

 皮肉な現象だが、エリート社会ではこうして「逃げ方を知っている」人ほど「勝って」いる。降ってくる仕事を何の疑いもなく完遂しようとするのではなく、その仕事を含めた「トータルとしての日常」を長く愛し続けられるよう、自分の環境を積極的にマネジメントしているのだ。公私ともに楽しみな目標を掲げる。そして体調に関しても、疲れてはいても「慢性的な困憊状態」に自分を追い込まないよう、良い意味で自分を律している。結果、頑張るときには頑張りきって最高のパフォーマンスを発揮しているのだ。

 筆者は現在、調査から買収まで、日系企業のアジア展開支援をする「Asia Disruptive」をマレーシア拠点から、社会課題解決型の投資ファンド「ミッション・キャピタル」を東京からそれぞれ展開しているが、社員がどこで何時間何をしながら働いているのかについては一切詮索しない。これまでの人生経験から、社員が最高のモチベーションで仕事をすれば、クライアントが満足すると確信できるからだ。極論をいえば、「自分が最高に頑張れる環境のマネジメント」に資するなら、彼・彼女らがハワイやイタリアに住んでくれても良いと思っている。

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