こうした事態が発覚したため、同社は18年7月に東証1部への指定替え申請を「内部管理体制の見直しが必要」との理由で取り下げていた。その後は、利害関係のない弁護士と社外取締役からなる特別調査委員会が調査し、吉田氏らに対し「公私の区別がついていなかった」などと指摘。これを受け、責任を取る形で吉田氏が経営から退いたのは前述の通りだ。
吉田氏の再登板により、資金流用が繰り返される心配はないのか。取材に対し、同社の担当者は「内部の詳しい体制はお知らせしていないが、引き続き再発防止策を構築している最中だ」と回答するにとどまった。
ただ、同社が開示している資料には再発防止策の例が記されている。具体的には、(1)19年3月末の取締役会で付議して外部から管理本部長を招く、(2)コンプライアンスに関する研修を行う、(3)内部管理体制に関する業務フローを再検討する、(4)モニタリング体制を強化する――などを進めるとのことだ。
大規模な私的流用に手を染めた人物が、退陣からわずか3カ月で復帰する異例の人事を発表した日本和装HDは、一連の改善策によって上場企業としてふさわしいコンプライアンス管理を実施できるのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング