35万台も売れている「モップ」は、何がスゴいのかあの会社のこの商品(4/6 ページ)

» 2019年04月08日 08時00分 公開
[大澤裕司ITmedia]

ホームセンターでの実演販売で苦戦から脱却

 満を持して発売された「コードレス回転モップクリーナー」だが、期待の高さとは裏腹に消費者の心には届かず、販売は苦戦する。家電量販店の中には1カ月に1台売れればいいところもあったほど。店頭の什器を見直したり、商品説明動画を店内で流したりしたものの、状況は変わらなかった。

 風向きが変わったのは15年10月。試しにあるホームセンターで2日間、実演販売をしたことだった。プロの実演販売士は「ホームセンターでは売れる商品」と太鼓判。同社からすると疑問の残る見解だったが、フタを開けてみれば2日間で36台販売と、驚きの結果が出た。

 実演販売士は、立ったまま楽に水拭きができることを強く訴求したほか、同社が見落としていた網戸掃除への活用を提案した。塩谷さんは、こう振り返る。

 「これまでも窓や階段など、さまざまなシーンで使えることは提案していたのですが、網戸掃除への活用は提案していませんでした。実演販売士から、『網戸掃除に使ったら、網戸がとてもキレイになりますよ』と言われ、初めて気がついたほどです」

フローリングの水拭きも立ったままでき、体に負担がかからない
スティックを短くすれば網戸掃除にも活用できる

 これがきっかけになり、大きな販売チャネルとしてホームセンターの開拓に成功したが、もう1つの大きな販売チャネルとして開拓したのがテレビ通販である。

 テレビ通販で初めて扱われたのは16年6月。大阪の関西テレビから取り扱いの打診を受け、番組で紹介された。

 番組放送後の反響は大きく、局の当初計画を上回ったほどだった。「ホームセンターでの実演同様、実際に使って見せることができたことが、好調の理由だと思っています」と塩谷さん。最初は関西のテレビ局で採用が進んだが、17年3月からは、首都圏のテレビ局の通販番組や通販専門チャンネルでの取り扱いが始まった。

 テレビ通販が大きな販売チャネルになったのは、通販番組の視聴者層とマッチしたためであった。塩谷さんはその理由を、「通販番組の視聴者は60代以降の高齢者が中心で、ターゲットとマッチしました」と分析する。

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