小田: では、芝田さんが鬼を卒業したところで、今日は以上かな。
小田社長がいつになく温和に閉会を宣言しようとした時、冷徹な声が響き渡った。
「社長、このままではプロジェクトは失敗です」
全員が声のした方向に目をむける。
小田: どういうことかね?
「このままでは失敗です。1つ、大きな課題があるんです」
静かに語り始めたのは、IT担当役員の上地だった。
上地: 確かに、本社3部門では成果がでそうです。30%も余力が生まれれば、今までできなかったことにも挑戦できます。ただ、このプロジェクトは全社改革だったはずです。キックオフの説明では、本社で効果に確信が持てたら、事業部門、海外へと展開していく、と日野下さんが説明していました。
小田: うむ。今でもその方針は変わりませんよ。本社3部門で終わらせるつもりは毛頭ない。
上地: 今、この時点で私たちは、ざっと70体のロボット(RPA)を開発してきました。本社3部門だけでも、更に100体以上開発することになるでしょう。少なくとも、です。事業部門、海外ともなれば、最終的には1000体近くのロボットが動いても不思議はありません。
日野下: 開発人材の不足は、ステコミで一度ご指摘を受けましたが、その後、協力会社を見つけたはずではなかったでしょうか?
上地: はい。開発人材はある程度予算をかけることで解決できます。私が懸念しているのはどうやって統制を確保するかなんです。
日野下: 統制、ですか?
上地がゆっくり立ち上がり、ホワイトボードに歩み寄る。
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