土肥: ブレッドオーブンは2015年に開発がスタートしましたが、どういったきっかけで高級トースターをつくろうとなったのでしょうか?
八百幸: 調理家電というカテゴリーでみると、当社は炊飯器にチカラを入れてきました。「ご飯をおいしく食べること」に取り組んできましたが、「オーブントースターをステップアップできないか」といったところから開発がスタートしました。
最初、どんなことをしたのか。「ものすごく速く焼くことができる」ことを目指したんですよね。ポータブルCDプレーヤーのようなモノをつくって、CDをセットするような感じでパンを置き、フタをガチャと閉めていました。なぜそのような構造にしたのかというと、「ものすごく速く焼ける」から。パンとヒーターの位置を近くすればすぐに焼けるので、このような構造にしたところ、数十秒で焼けることが分かってきました。
土肥: それは速い。通常のトースターを使えば、3分ほどかかりますよね。
八百幸: 当初の目的は達成したのですが、社内から「速さも大事だけれど、味と質を追求すべきではないか」という声があって、どうすべきか方向性を考えていました。先ほど申し上げたように、当社は「ご飯をおいしく食べる」ことにチカラを入れて、炊飯器の研究に取り組んできました。15年ほど前に、低価格の炊飯器は製造するのをやめて、高価格のモノに絞り込みました。
こうした経緯があったので、「トースターも味と質を追い求めるべきではないか」という声があったんですよね。消費者はトーストをおいしく感じているのかどうかを調べたところ、「食パンはトーストして食べるのが好き」(57.9%)と答えた人が6割ほどいました。ただ、詳しく意見を聞いてみると「買ってすぐならトーストしないけれど、基本トーストする」「価格の安いパンはトーストすることが多い」といった声がたくさんありました。
ということは、パンは焼きたてがおいしいと分かっていながら、仕方がなくトーストしているのではないか、という仮説を立てました。焼きたてのパンを再現できるようなトースターがあれば、消費者のニーズを満たすことができるのではないかと考えたんですよね。
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