ボルボV60クロスカントリーとプロジェクトE.V.A.池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)

» 2019年05月06日 07時15分 公開
[池田直渡ITmedia]

 ボルボのV60クロスカントリーが日本に上陸した。2016年に2代目XC90で新世代モジュラーシャシーが登場して以来、90/60シリーズにはSPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)シャシーが、40シリーズにはCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)シャシーが続々と与えられて、フォード傘下時代のコンポーネンツを一掃するまで残すところV40のみになった。

ボルボのDセグメントワゴンV60に、車高を上げたクロスカントリーモデルが追加された

ボルボの黄金期

 フォードグループを離れて以降、フォードが提供するリソースの利用が大幅に制限されたボルボは、生き残りを賭けてパワートレーンとシャシーの全面刷新を自力で行うしかなかった。当時年産50万台程度の会社が下はCセグメントから、上はEセグメントや北米向け3列シートSUVまでシャシーとパワートレーンをオールブランニューでそろえるのは、ひよどり越えか桶狭間(おけはざま)かというくらいの乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負だった。

 その大勝負の甲斐あって、ボルボの出来は今かなり素晴らしい。SUVのXCシリーズにしても、ワゴンのVシリーズにしても、相当に見事である。人によって多少意見は違うかもしれないが、筆者的にはボルボの長い歴史上、商品ラインアップは今がベストだと思う。

 走って良く、デザインがオリジナリティを持ちながら上質。それより何より高く評価すべきはシートの圧倒的な出来の良さである。

 だからちょっとしたお金持ちにクルマの購入相談をされたならボルボを勧める。「今一番良いクルマって何?」と聞かれて、ボルボをその候補に挙げることを筆者はためらわない。別候補が一切無いとまでは言わないけれど。

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