なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2019年05月14日 08時13分 公開

スピン経済の歩き方:「黒タピオカドリンク」が20年を経て、再ブームになっている背景 (5/6)

[窪田順生,ITmedia]

黒タピオカ専門店、普及の「追い風」

 黒タピオカドリンク専門店の長蛇の列に並んだことのある方はなんとなく思い当たるだろうが、実はこれらの店は人気のパンケーキ店やクレープ店、さらにはスタバの高級旗艦店「スターバックス リザーブ ロースタリー 東京」なんかに並ぶよりもはるかに「回転」が早い。

 パンケーキやクレープのように注文を受けてから1枚1枚焼くわけでもないし、高級スタバのように特別な資格を持つバリスタが1杯1杯丁寧にコーヒーをいれるわけでもないからだ。極端な話、つくってあるドリンクを注いで、そこに黒タピオカを投入するだけででき上がりなので、より多くの客により早く提供できるのだ。

 こういう強みが黒タピオカ専門店の普及の「追い風」になっていることは言うまでもないだろう。

 特別な機材も不要だし、スタッフにも特殊な技術を教えなくてもいい。タピオカという原料の品質さえ担保できれば、独自のノウハウがなくてもおいしいドリンクができる。つくる人間の「腕」で味が大きく左右されるわけではないので、事業者側からすれば、参入のハードルが低いのだ。

 そんなことを言うと、「タピオカ専門店をバカにしている! 謝罪しろ!」と怒りがこみ上げてくる方も多いかもしれないが、タピオカドリンクが「入れるだけ」で誰でも簡単につくれるものだということは、タピオカの輸入業者や生産者が言っていることだ。

 実際、タピオカを扱う通販業者のWebサイトなどで販売しているタピオカは、レンジで1分か熱湯3分でモチモチにできるそうで、文化祭や学園祭の模擬店でも大人気だとうたっている。

 模擬店をやる学生でも簡単につくれるドリンクだからこそ、台湾でも街のいたるところで屋台ができている。日本中で次から次へとタピオカドリンク専門店が現れているのは、これが理由だ。

 つまり、過去最高の「台湾人気」に加えて、このような「誰でもできる」という強みが、現在の黒タピオカドリンク人気の土台になっているのだ。

 今回の黒タピオカブームという現象を見てつくづく思うのは、「観光」とは、実は最強の「文化輸入」であるということだ。

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