クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向
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» 2019年05月20日 07時05分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:完敗としか言いようがない日産の決算 (5/5)

[池田直渡,ITmedia]
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これから3年のロードマップ

 ではその魅力あるクルマとしてどんな隠し球を持っているのかと注目していると、その説明に出てくるのは、CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous:自動運転、Shared/Service:シェア/サービス、Electric:電動化の頭文字)だった。その筆頭が日産が「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」と呼ぶ高速道路での半自動運転を可能にするシステムである。

成長の軸として半自動運転システム「プロパイロット」を挙げた(日産決算資料より)

 さらに電動化ももっと進めるのだそうで、22年にはグローバルでモデルラインアップの3割を電動化車両にするという。まあ電動化といっても、ほとんどは電気自動車(EV)ではなく日産がe-POWERと呼ぶハイブリッド(HV)だと思われるが、言うは易く行うは難しで、性能と安全性が確かなバッテリーを果たして150万台分も供給可能なサプライヤーがあるのだろうか?

 トヨタは17年の実績で約140万台のHVを生産しているが、調達部門はHVに使うバッテリーの確保に必死なのだ。EVのバッテリー容量はHVの数十倍なので、EVにも力を入れたい日産の場合、より確保が厳しい。

電動化の拡大を目指す(日産決算資料より)

 前後にハイパワーモーターを搭載した四駆のハイパフォーマンスカーなども考えていると西川社長は言う。イメージリーダー的なモデルが必要ないとはいわないが、普通にショールームに並べるクルマはどうなのだという問いに対しては22年までに基幹車種の全て、20車種について新型車を投入するのだそうだ。

20車種について新型車を投入する(日産決算資料より)

 長らく放置して、古くなった商品ラインアップを刷新するためにやむを得ないのは分かるが、果たしてそうやって短期集中でリリースするクルマが、日産のブランド価値を再興できるものになるのかどうか、不安は拭いきれない。

筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)

 1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。

 以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。


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