インタビュー
» 2019年05月23日 05時15分 公開

令和時代の「インパール作戦」か?:激増する“ワンオペ管理職” 「かりそめの働き方改革」が日本をダメにする (2/5)

[田中圭太郎,ITmedia]

成果主義では生産性は上がらない

――ワンオペ管理職が増えたこと以外に、成果主義にはどのようなデメリットがありますか。

 まず、教育をしなくなることですね。私は成果主義が導入された頃は、仕事をして成果が上がれば上がるほど給料に跳ね返ってきたので、むしろ成果主義を喜んでいました。

 ところが、何が起こっていたかというと、自分の業績目標に若手の教育を設定しなくなっていたのです。自分の給料を上げるために業績の目標を設定しますから、教育のようにすぐには成果が上がらない仕事は極端に減らしていました。

 そのため、私は若手を育てませんでした。そのときの若手がシニアになったいま、やはり次の世代を育てることをしていません。私が人材教育のバトンを落としてしまったのです。それでは組織全体の生産性が伸びなくなることに気づいて、いまは反省して教育に力を入れるようにしています。

 私がそうだったように、成果主義によって中堅でバリバリ働く人材が、次に自分の役割を担う人材に教育をしなくなっています。これは将来的には大きな損害につながると思いますね。

――成果主義の一方で、この20年は経費節減も進んでいますよね。

 無意味な経費節減が多いのは事実です。象徴的な例は、タクシー代を認めないことです。タクシーに乗るのは時間がないときなどに必要だと判断しているから乗るのであって、形式的に「乗ってはいけない」と決めるのはおかしいですよね。

 プライベート目的でタクシーを使う社員がいるので認めないという性悪説が理由かもしれませんし、不正が起きたときに中間管理職が責任を追及されたくないのでルール自体をなくした、ということも考えられます。いずれにしてもナンセンスです。

 ペーパーレス化も分かりやすい例でしょう。A4のコピー用紙は500枚で数百円しかしません。ペーパーレスにするためにマンパワーを使って、その人たちの時給は紙より安いのでしょうか。

 経費節減には科学的な発想ではなく、精神論が宿っています。精神論自体は悪くないと思いますが、成果を出すためにはリソースも必要です。無意味な効率化をしてもしようがないでしょう。何をすれば成果につながっているのかをきちんと議論して、無駄な経費節減をしないことが重要です。

phot タクシーに乗るのは「必要だ」と判断しているからだ

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