――「西野さん」と「お金」というと、まずクラウドファインディングが思い浮かびます。西野さんが始めたころはたたかれることもあり大変でしたよね? 日本には寄付文化はなかなか根付かないように思われます。
僕が初めてやったのは7年前ぐらいでしたけど、その時、クラウドファンディングは「宗教」と揶揄(やゆ)されていましたね。「信者からお金を巻き上げてやがる!」と。そう考えると、多少は進んだのかなというのはありますね。だいたいみんな、理解が追い付いていない自分の自我を守る為に、理解ができないものに対して「宗教」というレッテルを貼って、揶揄しますね。今だったら「オンラインサロン」がそれにあたります。
7年前、クラウドファンディングは宗教、宗教って言われたので。そう考えると、この1、2年でちょっとは認知が広がったのかなと思います。とはいえ、まだまだですけど。
やる、やらないは別にして、「働いて稼ぐ」とか「銀行にお金を借りる」といった資金調達の一つとして、クラウドファンディングを持っておくといいかもしれませんね。
クラウドファンディングの運営会社の方もすごく頑張ってくださったでしょうし、一応、自分たちも「こういうのがあるよ」って、たたかれながらも言い続けてきたという自負はあります。
――西野さんの考え方は実体験に基づいているのですね。書籍の無料公開は話題になりました。書籍は無料で公開し、その後に課金するというビジネスの仕組み作りも印象的ですが、なぜそのようなスキームを思い付いたのでしょうか?
僕、「シナジーマップ」を作っているんですよ。
自分が手掛けているさまざまなプロジェクトの相乗効果を可視化した地図です。
例えば去年、『新世界』というビジネス書をネット上で全ページ無料公開したんです。これまでは本を売ってお金にしてたじゃないですか。それを一旦辞めて、「本を無料で提供して、本を読んだ人にオンラインサロンに流れてもらって、月額課金で回収する」という実験をしてみました。
お客さんをどこから呼んで、どこにお金を落としていただいてっていうのを設計するわけです。
その設計が綺麗(きれい)に決まると、基本、本やイベントは無料でよくなります。ここがデザインできてないと、ものを売って、「お代は○○円です。はやく、お金をください」とならざるを得ないので、アプローチのパターンに限界が出てくる。
それだと、あんまり面白くないっす。
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