#SHIFT

キングコング西野亮廣が考える仕事観――お金と挑戦は切り離せないキンコン西野の仕事術【前編】(1/5 ページ)

» 2019年05月24日 05時00分 公開
[森永康平ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 今や芸人以外にも多くの顔を持つ、キングコングの西野亮廣さん。会員数2万5000人を誇る国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』のオーナーでもあり、クラウドファンディングを通じて総額2億円以上を調達している。今回は、そんな西野さんへのインタビューを前編と後編の2回にわたってお届けする。前編では、お金に対する考え方と、ビジネスにおける仕組み作りのコツを聞いた。

phot 西野亮廣(にしの・あきひろ)よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1980年兵庫県生まれ。99年に梶原雄太氏と漫才コンビ「キングコング」を結成。2016年8月に『魔法のコンパス 道なき道の歩き方』、同年10月に『えんとつ町のプペル』を出版。現在は国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』のオーナーも務める。38歳(撮影:馬場敬子)

テレビ局の都合で番組が終わった

――今日はよろしくお願いします。西野さんの新著『新・魔法のコンパス』を読むと、使っている言葉が非常に易しく、文体も語り口調ではあるものの、その中で語られている内容は経済学書やビジネス書に近しいと感じました。西野さんはどのようにしてお金の考え方やビジネスの仕組みを作る能力を身に付けたのですか?

 「お金」の話は、残念ながら学校では教えてもらえなかったので、現場で学ぶしかありませんでした。

 どんな活動であろうが、活動費や生活費といった予算が捻出できないと、活動が止められてしまうので、生き抜くために自然と身に付いたのだと思います。

――西野さんは絵本を作るときもスタッフに任せず、細かなところまで全て自分でプロデュースされていらっしゃいましたね。タレントさんがお金のことまで関与をすることは珍しいと思いますが、なぜ裏方の仕事までやろうと思われたのですか?

 僕たちタレントは「視聴率を取っていればいい」と言われて、テレビ番組と向き合っているわけですけど、ある時、視聴率がよかったのに番組が突然終わっちゃったんですよ。

 局の方針で、バラエティ枠からドラマ枠になるということで、急きょ番組が終わっちゃったんですね。その番組には、局員さんじゃなくてフリーランスで入られてる作家さんだとか、ディレクターさんもいらっしゃって。当然その奥にはご家族もいらっしゃるわけじゃないですか。

 番組が急に終わってしまうと局員さんは次の収入源がありますが、フリーランスの方は終わっちゃうと本当にゼロになってしまう。それなのに、僕は彼らを守ってやれなかった。この時に、自分の弱さと、弱さからくる無責任さと直面したわけですが、この経験は大きかったですね。

 自分たちの人生を局の編成の人に委ねるのはあまりにも危ういなと感じました。局の事情もいろいろあると思うんですけど、編成の人のさじ加減で自分たちの人生が振り回されてしまうのは危ないなと思って。

 そこで、スタッフさんやスタッフさんの奥にあるご家族の生活を背負っている以上は、ハンドルは自分で握っておくことに決めました。お金のことをちゃんと考えるようになったのは、その時です。

――そんな経験をされていたのですね。しかし多くの芸能人やタレントさんは「自分が売れること」を最優先にしてご活動されているように見受けられます。

 良し悪しではなく、「ゴール」と「アプローチ」の違いかもしれないですね。

 要は「レギュラー番組がたくさん欲しい」「テレビにたくさん出たい!」というゴールを持たれているんだったら、そこは考えなくてもいいことですし。自分の場合はエンタメで世界を取ることをゴールとしているので、場合によっては、何億とか何十億とかの予算が必要になってくる可能性があります。

 その時に、それだけの予算が集められる体になっていないと、ゴールに向かえないので、当然、お金や広告に対するアプローチは無視できません。

 「夢や挑戦」と「お金や広告」は、絶対セットなのですが、この国ではお金のことを語ると「汚い」みたいになっちゃうじゃないですか。

 「下品だ」みたいな。

 そういうマインドになるとみんなの夢が叶(かな)う確率がぐっと下がって、挑戦が途絶えてしまう確率がぐっと上がってしまうので、そこは責任を持ってカジュアルに話していきたいなと思います。

 お金稼ぎのことではなくて、「お金って一体何なのか?」というところを。

phot
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.