――そういう発想は、いつごろから持ち始めたんですか?
すごく悪い言い方をすると、僕は本を、チラシ的、フライヤー的に使っていて、どこでお金を落としてもらうかっていうのは自分の中では奥の方にあるんですけど……。そういう風に設計し始めたのは『えんとつ町のプペル』の頃からかもしれないですね。
ある時、「ありゃ? 何でお金を取っているんだろう?」と思ったんです。TwitterとかFacebookとかGoogleは無料じゃないですか。あんな便利なものが無料で使えるのに、何で自分は絵本を有料にしているんだろうって。
あとは実験願望ですね。
「本を無料にしてみたら、人やお金はどういう風に流れるんだろう?」という興味です。そして、自分の興味に従って、実験してみたら、良い結果が出たので、「ああ、これ結構使えるな」と。
まずは何でも試してみますね。試すことのいいところは、「本を無料にする」と決めて……。例えば絵本なら2000円のものを無料で読めるようにしてしまったら、どこかで回収しないと僕が死ぬわけじゃないですか。
でも、ありがたいことに僕は生き物なので、一応生き延びるようにプログラミングされているんです。なので、とっとと過酷な環境を与えてしまって、その環境に適応する身体を作ることにしました。その時に成長してくる部位が「才能」ですね。
「才能」が欲しかったんだと思います。
あら?
何の話でしたっけ?
――自分を追い込むのですね?
ああ。「答えを出さないと死ぬ」というところに張るようにしています。
最近だと「美術館を作る」って言ってみたんです。「美術館って3億円ぐらいじゃね? 3億円なら本気で頑張れば何とかなるんじゃね?」と思って言ってみたのですが、蓋を開けてみると、建築士さんから「15億円かかるよ」って言われて、泡を吹いたので、すぐに美術館建設を決めました(笑)
税金のことを考えると、15億円を払おうって思ったら、20億円とか25億円とか稼がなきゃいけないわけじゃないですか? そうなると、テレビに出ている場合じゃないんですよ。テレビのギャラでは絶対に支払えない額なので。
「テレビのレギュラーを増やしてしまうと実現不可能になる」という結論が面白くて、マネジャーと「テレビは諦めよう(笑)」と言って、酒をたらふくのみました。ヤケ酒です。
そこから、「テレビ出ないでどうやってあと15億円、20億円を調達するか?」と、ようやく頭が動き出すわけですが、そこが楽しいですよね。
答えを出さないと死んじゃうので。
死にかけてみると、生きていることが実感できるので、オススメですよ。
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