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» 2019年05月27日 07時45分 公開

投資のきっかけは仮想通貨? なぜ若者はビットコインを買ってしまうのか (1/3)

「投資のきっかけは仮想通貨のリップルを買ったことです」。金融庁は貯蓄から投資へのシフトを促し、各社が若年層向けの投資商品や金融教育を推進している。ところが、若者にとって投資の入り口になっているのは皮肉にも仮想通貨だ。

[斎藤健二,ITmedia]

 

 「投資のきっかけは仮想通貨のリップルを買ったことです」「ビットコインを買って、上がったのでFXを始めました」

 角川ドワンゴ学園N高等学校(N高)が設立するN高投資部の設立記念講義で、「投資をやったことがあるか?」という質問に対して、多くの学生はこう答えた。投資未経験者にとって、身近な投資というと仮想通貨。そんな状況が垣間見える。

N高投資部の講演で、村上世彰氏は投資のきっかけについて話した

 3月に仮想通貨取引所のGMOコイン(東京都渋谷区)が行った調査でも、仮想通貨が初心者を引きつけている様子が分かる。仮想通貨取引を行うユーザーのうち、実に4割が投資未経験者だ。彼らにとっては、初めての投資が仮想通貨だということだ。

金融庁は投資教育の重要性を言うが……

 「貯蓄から投資へ」。こんなスローガンと共に、金融庁は投資教育の重要性を掲げる。その背景には3つの変化がある。

 1つは終身雇用の崩壊だ。定年まで勤め上げて退職金をもらい、老後を過ごす。日本自動車工業会の豊田章男会長が「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」というように、終身雇用制度は崩れつつある。

 2つ目は年金の問題だ。17歳の高校生が「年金も、僕らの世代は本当にもらえるか疑問だ」と話すほど、年金制度への信頼は下がっている。その信頼を取り戻すどころか、「年金だけでは足りなくなるから自助努力で資産運用してください」というのが国の本音だろう(4月22日の記事参照)。

 そして3つ目は長引く低金利だ。現在のメガバンクの定期預金金利は0.01%。100万円を預けても、100円しか利子がつかない。ところが、1990年台前半までは金利3%以上が普通で、バブル期には8%といった高金利のことさえあった。インフレはあったものの、貯蓄だけでもかなりの利子が得られていたのだ。

諸外国に比べて、日本は貯蓄の比率が高く、株式や投資信託の比率は低かった(金融庁資料より)
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