「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2019年05月28日 05時30分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

空前のラーメンブームに埋没

 80年代から90年代にかけて、コンビニ、ファミレス、ファストフード店などのチェーンが力を付けてきたのも、どさん子ラーメンにとって逆風となった。

 しかも87年に、「なんでんかんでん」が東京・世田谷区の環状7号線沿いにオープンして、ラーメンのトレンドが一気に九州発祥の豚骨に動いたのは決定的だった。

 みそラーメンは既に全国的な知名度と人気を確立していたが、環状7号線沿いには豚骨ばかりでなく、しょうゆ味、塩味といった職人肌の店主が経営するこだわりラーメン店が乱立。池袋西口、新宿小滝橋通り、新小金井街道などにも同様のラーメン店の集積が起こり、ラーメンブームが到来して、全国に波及した。

 豚骨ラーメンの本場・福岡から「博多一風堂」や「一蘭」などの人気店が続々と東京に進出。全国区の人気を確立するチェーンも増えた。

 ほぼ同時に、福島県の喜多方ラーメンもブレイクし、尾道(広島県)、白河(福島県)、佐野(栃木県)、八王子(東京都)、富山ブラック、横浜家系、台湾ラーメン(名古屋)などのご当地ラーメンが次々と人気を得ている。

 こうした怒涛のラーメンブームにどさん子ラーメンは埋没していった。対抗策として、「定食類を充実させて中華食堂化する」「おつまみを置いてちょい飲み需要を喚起する」「漫画を置いて若者を集める」といった方策で、50年近くのれんを守り続けている店主も少なからずいる。

 しかし、後継者がなく「体が続かなくなったら店じまいをする」と寂しげに語る店主が目立つのは気になる。現在は、各々の加盟店が踏ん張っている状況だ。長らく店の改装をしていないので、破れた椅子のシートにテープが張ってある店はざらにある。

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