繰り返しになるが、あなたの頭の中に生じた怒りという感情は本物だ。
けれども、怒ったからといって、かならずしも相手を糾弾したり正義感を発揮する必要なんて万に一つもない。
ならばどうすればいいかといえば、そっと怒りの原因から距離を取ればいいのである。
嫌なものは見ない、関わらない。
それで全てが簡単に解決する。
怒りを他責にせず、「基本的には自責」に持ち込めば、全てが自分の力でコントロール可能となる。
こうすれば、変な正義感にとらわれて怒りの狂信者となることはまずない。
相手にも相手の正義があることを認め、自分の正義を大切にするためにも、ほんのちょっと相手と距離を置けばいいのである。
あなたが相手の正義に従いたくないのと同様、相手だってあなたの正義なんかに従いたくない。
インターネット上には怒りと正義をセットにして、自分原理主義に殉教している人が山ほどいるけれど、あれこそまさに反面教師そのものである。絶対に、ああなってはいけない。
怒りは容易に人を狂わせる。怒ったときこそ、深呼吸でもして落ち着こう。
自分の怒りに正義を見いだし、相手にそれを追従するよう求めるようになってしまったら、まさに人としてオシマイである。
とはいえ、相手を変えようとせず、自分を変えるというのはなかなか難しい。そこで、自分を変える参考になりそうな本を一冊、紹介しよう。督促OL修行日記である。
本書は新卒でクレジットカード会社に入社し、カードの未払い客に支払いを求める“督促”という、考えただけでもストレスで胃に穴が空きそうな仕事をする部署に配属された方の修行記録である。
本書に出てくる督促の具体例は実に生々しい。電話していきなり怒鳴られることなど日常茶飯事のようで、コールセンターにおける感情労働のキツさは読んでいて心が苦しくなることうけあいである。
著者である榎本まみさんも、入社当初はこの業務に全く慣れることができず、ストレスで体調を崩したそうだ。
こんな壮絶な体験をしたら、冒頭に書いたように怒りで義憤にかられ、狂ったとしても全くおかしくなさそうだ。
しかし、榎本さんがすごいのは、そこで世をはかなむことなく、いろいろな本を読んで勉強したり、うまくいっている先輩の行動を真摯に観察したりして、督促OLとしてキチンと仕事に適応していったところだ。
この過程が実にすごい。
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