土肥: 受発注のプラットフォームをつくることになったわけですが、次にどのようなことをしたのですか?
加藤: マッキンゼーで大手企業を担当していたこともあって、町工場のことはあまり知らなかったんですよね。どういったニーズがあるのかよく分からなかったので、中小企業や零細企業を1年間かけてリサーチしました。
実際に話を聞いたところ、驚くことばかり。例えば、川崎市にある町工場は、かつて大手企業のCDプレイヤーの部品を手掛けていて、従業員は30人ほどいました。ただ、市場がどんどん縮小したこともあって、現在は社長1人だけ。社長さんの年齢は60代で、営業を苦手にしていることもあって、「数年以内に会社を畳まなければいけない」と言っていました。
この話を聞いたとき、「もったいないなあ」と感じました。川崎市の町工場はレアなケースでなく、同じような課題を抱えているところはたくさんありました。ということもあって、持続的に成長できる仕組みをつくらなければいけないと強く思いました。
土肥: で、受発注プラットフォームを完成させるわけですが、この仕組みは「日本初」だそうで。なにが初めてなのでしょうか?
加藤: 板金を加工する際、「ウチだったらこれくらいでできる」「いやいや、ウチだったらこの価格で」といった具合に、各工場によってなんとなくのロジックがあるんですよね。それを自動で計算をして、最適な会社を抽出することができるようになりました。なぜこのことが重要なのかというと、自社の強みってそれほど多くないんですよね。多くの町工場は、1〜2つほど。
そうした状況のなかで、当社は板金加工を300以上のカテゴリーにわけて、「こういう依頼があれば、この会社に」といった形で、自動で特定できるようにしました。
土肥: 複数の会社に仕事をお願いしているようですが、1社ではダメなのでしょうか?
加藤: 最適に分配することがポイントで、1社でつくってもあまり意味がありません。なぜか。1社に依頼すると、見積もりを効率化しただけだから。最適に分配して、安いモノを届ける仕組みが大切だと思っています。
土肥: では、商社のような形はいかがでしょうか。提携している町工場を何社か抱えているので、案件があれば提携先に紹介すればいい。
加藤: 案件を紹介している人たちは、何をしているのか。自分たちで見積もりができないので、ひたすら相見積もりをとるしかないんですよね。
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