製造業の「調達」を変えたサービスが、3000社以上から注目されているワケ水曜インタビュー劇場(課題公演)(2/5 ページ)

» 2019年05月29日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

製造業の「調達」が非効率

キャディの加藤勇志郎社長

土肥: 板金加工品の3DCADデータを「CADDi」にアップロードすれば、瞬時に見積と納期が表示され、そのまま発注できるサービスを手掛けたところ、売り上げがものすごい勢いで伸びていますよね。月次成長率は40%なので、「オレも頼む、頼む」「ワタシも頼む、頼む」といった状況だと思うのですが、そもそもどういったきっかけでこのようなサービスを開発することになったのでしょうか?

加藤: 私は学生時代から人材斡旋やコンサルティング事業などを行っていて、社会課題を解決することに興味がありました。なぜマッキンゼーに入社したのかというと、数多くの課題を解決できるのではと考えたから。大手メーカー10社以上の部品調達分野をサポートすることで、発注側が課題を抱えていることが分かってきました。

 ひたすら相見積もり(複数の業者に同じ条件で見積もりを提出してもらい、価格などを比較すること)をとっているんですよね。その姿を見て、ものすごく効率が悪いなあと感じました。また、購入価格はできるだけ安いほうがいいわけですが、どうしているのか。買い叩いているんですよね。「5%下げてください」「10%下げてください」といった感じで。

 一方、部品を加工する町工場はどうなのか。国内板金の加工会社をみると、82%が従業員9人以下の零細企業なんですよね。また、見積もりをしたものの、失注率は80%で、経常赤字に陥っている町工場は73%という厳しい数字がある。なぜ、これほど赤字企業が多いのか。調べてみると、やはり調達の構造に問題があることが分かってきました。

 町工場の場合、何らかの強みがある。ただ、弱みと感じている仕事でも、相見積もりをとられるケースがあるんですよね。時間をかけて見積もりを出したのに、受注できない。受注できても、不得意なことをしなければいけないので、利益があまりでない。結果、経営が厳しくなっていく構造がうかがえました。

 こうした課題を解決するには、どうすればいいのか。受発注のプラットフォームをつくれば、発注者も加工会社も非効率な仕事から解放されて、利益率も高くなるのではないかと考えました。そして、2017年11月に会社を創業しました。

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