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“移民”解禁で仕事を奪われる「プアー・ジャパニーズ」は出現するか岐路に立つ日本社会(3/5 ページ)

» 2019年05月29日 07時30分 公開
[永井隆ITmedia]

GAFAの創業者はみな移民系

 GAFA(ガーファ)は、Google、Apple、Facebook、Amazonを指す造語だ。「Appleと他の3社を一緒にするのはおかしい」という指摘はある。が、4社の売上高の合計はこの10年で7倍にも成長し、米国をはじめ世界経済を引っ張り人々の暮らしをも変えている。そんな4社の創業者たちは、みな移民系という点で共通する。

photo ロシア系移民1世のセルゲイ・ブリン氏が創業したGoogle(提供:ゲッティイメージズ)

 Googleの創業者セルゲイ・ブリン氏はロシア系移民1世であり、Appleのスティーブ・ジョブス氏はシリア系移民2世として知られ、Facebookの創設者の一人エドゥアルド・サベリン氏はブラジル系移民1世、Amazonのジェフ・ベゾス氏はキューバ系移民2世(母親の再婚相手がキューバ系)だ。イギリス系、フランス系、ドイツ系、オランダ系の米国人ではない。また、特別に裕福な家庭の出身でもない。

 GAFAをはじめアメリカ経済の成長は、優秀な部類の移民たちによる貢献が大きかった。プアー・ホワイトが、時給は低くとも仕事を得られているのは移民たちのおかげでもある。

「日本も米国と同じ流れに」

 では、これまで聖域とされてきた単純労働を外国人に開放した日本は、アメリカと同じ道をたどるのか。

 改正出入国管理法(入管法)が4月に施行され、就労を目的とした新たな在留資格「特定技能」が1号と2号の2段階で新設された(1号は在留期間5年に対し、上位の2号は在留期間更新が無制限で可能)。対象となる業種は、介護やビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、自動車整備、建設、宿泊、農業、外食など14。受け入れ国は当面、ベトナム、中国、インドネシア、フィリピン、タイなどアジアの9カ国。これから5年間で約34.5万人の受け入れを、いまのところは見込んでいる。

 「日本も、米国と同じ現象は起こるでしょう」(米国でのビジネス経験が豊富な電子部品メーカー社長)という指摘はある。

 日本人か外国人かではなく、能力の高い人を起用していかなければ、企業は生き残れない。優秀な人が集まれば、日本企業は生産性を向上させて、競争力を高めていける。日本型モノづくりの再興にもつながっていく。

 今回の入管法改正の背景には、急速な高齢化と人口減少に伴う極端な人手不足がある。これらは同時に国内市場の縮小も招いている。

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