米国で“肉のようで肉でないモノ”が売れている、2つの理由肉の概念を変えた(3/5 ページ)

» 2019年05月30日 08時00分 公開
[藤井薫ITmedia]

非常に巧みで効果的な販路開拓

 味のカギを握るのは、大豆の根を加工して作られるヘム(生体内に存在する鉄)だ。血がしたたる肉汁はもちろんのこと、生肉のように赤身を焼くと茶色に変わる状態までそっくり再現している。

 フーズ社のパテは、圧縮調理された小麦をベースに、牛肉の食感を出すためのポテトプロテイン、イーストで発酵させたヘム、さつまいもやココナッツオイルなどを混ぜ合わせて作られる。

 このように製造されたパテを調理する際には、本物の肉を焼くような香りまで漂うという。かなり、細部までこだわっているのだ。

 また、19年2月には改良が行われ、パテに使用していた小麦を大豆プロテインに変更し、グルテンフリー対応になった。味わいが、よりジューシーで、肉らしさもグレードアップされているようだ。しかもグルテンフリーは健康意識の高い人にもササる。

(出典:インポシブル・フーズ)

 そしてもうひとつの特徴は、フーズ社の成功の影に、非常に巧みで効果的な販路開拓があったことだ。同社は、インポシブル・バーガーの開発段階から有名シェフに協力してもらい、レストランで商品を提供することで知名度を上げることに成功した。

 その有名シェフは、ニューヨークで人気のラーメン店「Momofuku Noodle Bar」やスイーツ店の「Momofuku Milk Bar」など、さまざまな店舗を展開する「Momofuku」グループの創業者、David Chang(ディビッド・チャン)だ。

 ディビッド・チャン氏の協力を得て、最初のインポシブル・バーガーが提供されたのが、ニューヨークのチェルシー地区にある彼のレストランだった。16年に「Momofuku Nishi」でインポシブル・バーガーが提供されると、ぐんぐん認知度が上がり、別のレストランでもメニューに加わるようになった。

 そして販路が徐々に増え、日本にも上陸した人気ハンバーガーチェーン店の「Umami Burger(ウマミ・バーガー)」でも提供されるようになった。

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