働き方改革関連法の施行により、中小企業における時間外労働の上限は、2019年4月から原則として「月45時間かつ年360時間」となった。しかし、あしたのチームの調査によると、残業の多い社員が上限を超える恐れのある企業の69.8%で、長時間労働の是正が進んでいないという。
改善されない企業では何が起きているのか。「労働時間の適正化に向けた取り組みを実施している」と答えた企業に聞いたところ、最も多く挙がったのは「管理職が部下の仕事を引き取ることが増えた」で28.5%だった。
2位の「他の人に仕事を頼みづらくなった」も、28.0%と3割近い企業が回答。その後、「打刻した後に業務をすることが発生した」(16.6%)、「自由に働けなくなった」(16.6%)、「会議等の時間の調整が難しくなった」(15.5%)と続いた。
回答者の役職別に見ると、経営者と比べて管理職は「他の人に仕事を頼みづらくなった」(30.7%)、「打刻した後に業務をすることが発生した」(19.0%)と答えた人の割合が、それぞれ10ポイント以上高い。「労働時間適正化を進める裏で、管理職の抱える業務が増えていると考えられる」(あしたのチーム)
一方、経営者の回答が目立つのは「売上が減少した」(22.5%)という項目。あしたのチームは「これまで長時間労働によって支えられてきた売上が下がっていると考えられる」と指摘し、「これまでの仕事のやり方を見直し、工夫しなければ、労働時間の適正化ができても会社の売上や業績は落ちるのではないか」としている。
調査は4月23日〜25日にかけてインターネット上で実施。中小企業(従業員数5〜300人)の経営者100人と管理職300人、計400人から回答を得た。
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