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「ラブライブ!」舞台の沼津 アニメ未登場でも「聖地」にしてしまう驚きの手法とは「大洗モデル」活用(3/5 ページ)

» 2019年05月30日 06時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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「大洗モデル」活用

 茨城県大洗町でも、12年に放送されたアニメ「ガールズ&パンツァー」を用いた取り組みが続けられている。その中で特徴的だったのが、作品に登場したキャラクターの等身大パネルを各商店に配置し、特定の商品を購入した人に対して、商工会手製の缶バッジを頒布するというものだった。等身大パネル設置店の多くは、作品の舞台となっていない点も特徴的だった。

 「ただ、沼津市は大洗町と違い面積が広いので、そのまま施策を流用するのは難しいと思いました。そこで、沼津では各個店にオリジナルイラストを設置する形で実施することで、市全域の回遊策につながらないかと考えたわけです」(中北さん)

 そこで商工会議所は、「沼津まちあるきスタンプ」を17年5月から実施。市内の協力店舗や施設にスタンプ台を設置し、専用のスタンプ帳に押印して市内中を巡るという仕掛けを考えた。スタンプやスタンプ帳にはアニメのキャラクターが描かれ、そのデザインも沼津独自のものになっている。9人の主人公にちなみ、9カ所から始まったこの取り組みは、現在では81カ所(19年5月末時点)に広がっている。設置されている施設は飲食店が中心だが、旅館やバス案内所、スーパーやお土産物売り場、コンビニ、書店、模型店など多岐にわたる。さらにこうした施設の多くは、作品に直接登場していないものも多いのが特徴だ。

 この協力店舗や施設では、オリジナルデザインの缶バッジも1個300円(税込み)で販売されている。店舗や施設ごとにデザインが異なり、この缶バッジを収集するのもファンの楽しみの一つとなっている。19年1月にはこの缶バッジの売り上げが1億円を突破した。実に33万枚以上を売り上げた格好だ。スタンプ帳の販売数も4万枚を突破しているという。

 これらのグッズやスタンプは、沼津のために関係者が新たに描き下ろしたものだ。こうしたシティープロモーションを参画する会議には、版元であるアニメ制作会社「サンライズ」のスタッフも加わっていて、密な連携を取っているという。

 「実は、集めて特典を得るスタンプラリーではなく、街歩きを楽しむためのスタンプ設置という形になったのはサンライズの提案なんですよ。描き下ろしイラストをはじめ、サンライズには譲歩していただいた部分が非常に大きいですね」(中北さん)

phot スタンプラリー協賛店舗ではグッズがひしめく場所もある=欧蘭陀館にて撮影
phot スタンプ帳と缶バッジ

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