ビジネスチャットツール全体の大きな特徴として、WebブラウザによるUIの他、Windows版とmacOS版の専用クライアントアプリケーション、そしてAndroidとiOS版アプリの提供が挙げられる。
PCユーザーであればインストール作業なく利用を開始でき、さらに各種アプリケーションとの連携機能を使いたいユーザーであれば、専用クライアントを導入することでより便利に利用できる。
外出の多いユーザーや現場での作業が中心となるユーザーの場合、モバイルアプリを活用することでスマートフォンやタブレットを通じていつでもビジネスチャットにアクセス可能だ。選択ポイントとしては、動作環境よりはむしろ機能面での差異に注目すべきだろう。
Teamsは基本的にOffice 365 Businessサブスクリプションに結びついている。Office 365 BusinessにはEssentialsとPremiumの2種類があり、主にサポート面と利用環境(EssentialsはWebブラウザ経由で利用する)といった部分で区分けされている。
また、Office 365 Businessは中小規模の組織向けの製品であり、300人を超えるユーザーの場合にはEnterpriseエディションの導入が推奨されている。個々のユーザーに与えられるストレージ容量は、Office 365契約で与えられるOneDriveストレージの容量がそのまま反映されており、サポート内容や各種ドメイン連携機能はサブスクリプションの種類に依存する。
Teamsの特徴的な部分として、ビデオ会議や画面共有機能が充実している点が挙げられる。これはMicrosoftがSkype for Businessの置き換えをある程度狙って機能強化していることを反映したものであり、遠隔での会議が多いユーザーは重宝するだろう。画面共有機能も標準化されており、チュートリアルや作業指示がしやすくなっている。
この他、Office 365のクラウドサービスや各種Officeアプリケーション群との連携が強力で、特にOffice文書を使って作業しているユーザーやチームの場合、スムーズに内容の確認や作業への移行が行える。
Microsoft Teams | |||
---|---|---|---|
種類 | 無料版 | Office 365 Business Essentials | Office 365 Business Premium |
1ユーザーあたりの月額料金 | 0円 | 540円 | 1360円 |
メッセージ保存と検索 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ファイルストレージ | ユーザー当たり2GB+共有10GB | ユーザーあたり1TB | ユーザーあたり1TB |
1対1ならびにグループビデオ会議 | ○ | ○ | ○ |
画面共有 | ○ | ○ | ○ |
会議のスケジューリング | − | ○ | ○ |
Microsoft Streamによる会議の録画 | − | ○ | ○ |
管理サポート機能 | − | ○ | ◎ |
Slackについても同様の区分けになっている。フリー版と有料版との大きな差異は、主に「検索」機能と「ビデオ会議」の部分にある。特にSlackでは検索機能を重視する傾向が強く、フリー版の場合は直近1万件のメッセージのみしか検索できないようになっている。
この検索の項目だけに注目すると、SlackよりはTeamsの方がフリー版での優位性があるように思えるが、Slackでは会話の流れ全体をさかのぼって検索できるのに対し、Teamsでは該当するメッセージのみを抽出するなど、若干機能が異なる。特に流れの速いチャットで過去の重要なトピックを抽出する場合など、この最大検索件数と機能性は大きな意味を持つようになるので、フリー版を活用しつつ両者を比較してみるといいだろう。
Slack | |||
---|---|---|---|
種類 | 無料版 | スタンダード | プラス |
1ユーザー当たりの月額料金 | 0円 | 850円 | 1600円 |
検索可能なメッセージ | 直近1万件 | 無制限 | 無制限 |
アプリとサービス | 10点のサードパーティーまたはカスタムインテグレーション | 無制限 | 無制限 |
外部アクセス | − | ○ | ○ |
ユーザー認証 | 2要素認証のみ | +Google経由のOAuth | +SAMLベースのSSO |
管理機能 | − | ○ | ◎ |
ビデオ会議 | 1対1のみ | 最大15人 | 最大15人 |
画面共有 | − | ○ | ○ |
ファイルストレージ | 合計5GB | 10GB | 20GB |
サポート | △ | ○ | ◎ |
まとめると、SlackとTeamsで機能に若干の違いはあるものの、プラン構成や基本機能で大きな違いはない。実際に導入を考えている組織はフリー版を活用しつつ、両者の機能性を見比べて適したものを選ぶといい。
次回は企業での具体的な活用事例をみていく。
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