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» 2019年05月31日 06時00分 公開

業務を効率化するITツールの最新事情:話題のビジネスチャットツールを導入するメリットは? 無料版のSlackとTeamsを比較 (1/2)

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 デジタルトランスフォーメーションという言葉がある。その定義は人によってさまざまだが、ITを用いて日々の業務を改善し、より高い生産性や価値の向上を実現することが狙いにある。古くはメインフレームやオフコンの世界から発展したITの世界は、そのテクノロジーの進化とともに人々が可能なことを増やしつつある。

 例えば、PCの登場が1人1台体制でインテリジェントな作業環境を持つことを可能にし、インターネットの発展は距離をまたいだ組織間の連携や新しい顧客への接触機会、そして新しいアプリケーションの可能性をもたらした。現在、高度に発展したモバイル端末と5Gなどに代表されるより高速で信頼性の高いネットワークの発達が、こうしたツールをより身近なものにしている。

企業で普及が進むビジネスチャットツール

 ITの世界では1つのソリューションを導入すればその時点で終了ではない。その時々で最適なものを取捨選択し、自らの業務に当てはめていくことでより生産性を向上させていくことが重要だ。

 本稿ではいま話題のツール群にフォーカスを当てつつ、これらをどう活用して先行企業らが業務改善に役立てているのかを紹介していきたい。今回はまず、最近利用が進みつつあるビジネスチャットツールの概要を紹介する。

なぜビジネスチャットツールが話題なのか

 ビジネス向けのコミュニケーションツールの歴史は長く、古くは電子メールから始まり、グループウェアと呼ばれる「Notes」や「Exchange」に代表される情報共有ツール、そしてリアルタイムでの相互連絡を主眼にしたチャットツールまで、さまざまなツールが登場しては活用されてきた。

 中でも近年急速に利用が進んでいるのが、2013年に最初のバージョンがリリースされた「Slack」のようなビジネスチャットツールだ。グループウェアと前出チャットツールの中間的な存在で、そのサービス名の由来となった「Searchable Log of All Conversation and Knowledge(全ての会話とナレッジの記録が検索可能)」というフレーズからも分かるように、ある程度の会話のリアルタイム性を残しつつ、情報の記録性と検索性を強化したことが特徴となっている。

 Slackと連携できるアプリケーションも各種登場している他、無料版でお試し導入が容易であり、各社での導入事例が報告されているため、比較的導入のハードルが低いことも人気の秘密だろう。

注目されているビジネスチャットツールの1つ「Slack」

 当時のSlackの勢いを象徴するエピソードが、Microsoftが80億ドルでSlackの買収を検討していたというニュースだ。結局、Slack買収を模索する勢力と自社製品(Skype for Business)の強化を行うべきとの勢力が対立したことで買収の話そのものは流れたようだが、最終的にMicrosoftはSlackの直接対抗となる「Microsoft Teams」(以下、Teams)を開発し、導入企業は続々と増え、そのビジネスは急速に成長している。

 同社はもともとビジネス向けSNSとして「Yammer」、情報共有ポータルの「SharePoint」、かつてLyncという名称で提供されていたチャット兼ビデオ会議サービスの「Skype for Business」というコラボレーション系ツールを提供していたが、これらに代わる中核製品としてTeamsを前面に押すようになった。

 Microsoftが生産性ツールとして提供しているOffice 365では、以前まで情報共有用ツールとしてSkype for Businessがバンドルされていたが、現在では代わりにTeamsが導入されるようになっている。

Slackの対抗製品として開発された「Microsoft Teams」

 Microsoftによれば、Fortune 100社のうちの91社、全体では50万以上の組織がTeamsを導入しているという話がある。国内でも組織の規模を問わずに導入が進んでおり、引き合いも強いという。

 その理由について日本マイクロソフトは「既存のメール環境に手を付けずに、そのままTeamsを新たなアプリケーションとして追加可能なこと」と説明する。メールや既存の業務システムは日々の作業に必須のもので、できれば手を付けずにそのまま運用を続けたい。一方で、日々届くメールの内容は玉石混交であり、一見しただけでは優先順位が付けづらいうえ、重要なメールを見落とす可能性がある。

 これを解決すべくさまざまなソリューションが提案されているものの、決め手に欠けるのが現状だ。そのため、メールシステムに影響を与えずに必要な業務連絡や情報共有がスムーズに行える仕組みとして、新たにTeamsの導入しようという流れができたのだと考えられる。

 当初はOffice 365ファミリーの1つとして有償提供されていたTeamsだが、2018年7月にはSlack同様に無料版の提供が開始され、こうした“お試し”用途での導入がさらに容易になった。次項では、サービスのプランごとの差異について見ていく。

コミュニケーションツールとしての活用例
タスク管理の活用例
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