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» 2019年06月05日 08時00分 公開

Books&Apps:定年後、あなたも「孤立老人」に陥るかもしれない深いワケ (1/3)

いつのまにか妻や子供、兄弟姉妹からも“相手にされない人”になっていたとしたら……。定年後、孤独に涙する寂しい老人にならないためにできることとは。

[熊代亨,Books&Apps]

この記事はティネクトのオウンドメディア「Books and Apps」より転載、編集しています。


 たとえ「他人からうっとうしく思われそうな言動」を繰り返していても、「相互不干渉」がマナーになっている現代社会では、誰かが叱ったり注意したりしてくれることは少ない。

 自分を叱ってくれる人、それも、「ちゃんと心に刺さるようなかたちで叱ってくれる人」は貴重な存在だ。

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 少し前に、AERA.dotに掲載された記事は、まさにそのことを思い出させる内容だった。

66歳男性が風呂場で涙… 友人もいない老後を憂う相談者に鴻上尚史が指摘した、人間関係で絶対に言ってはいけない言葉

 ちょっとおかしいと思い、妹に連絡したら「お兄さん、気づいてないの? みんなお兄さんが煙たくて、距離とっているんだよ」と。寝耳に水でした。妹によれば、私が長男で母から優遇されすぎたし、弟たちの学歴や会社をバカにしてたのが態度に出すぎてた、というのです。たしかに私は兄弟のなかでも学歴も会社も一番上で、母の自慢でした。弟たちをみて、不甲斐ないと思ったこともありましたが、それは私が努力したからです。弟たちにとって私は自慢の兄だろうと思ってきました。弟たちの不甲斐なさをちょっとからかったこともありましたが、兄弟のことです。

 思い切って弟に直接電話してたしかめると「姉ちゃんに聞いたんなら分かるだろう。兄貴と呑んでもえばった上司と話しているみたいで酔えんから」とつれない返事でした。結局、妻も「旅行は友達と行ったほうが楽しいから」と私と行こうとはしてくれません。

 この、66歳男性の文章を読むと、「ああ、この人は叱ってくれる人がいなかったのだな……」と思わずにはいられない。

 この男性は、兄弟や妻に対して、人心を失うようなことを平気で言い、コミュニケーションが成り立たなくなるようなことを平気でやって、だけど誰も叱ってくれなくて、次第に人が離れていってしまったのだろう。

 男性が勤めていた会社にも、このことに気付いている人はいたかもしれない。「この人は、家族や兄弟のことを見下し、ひどいことを言っているんじゃないか」といった具合に。だけど相互不干渉がマナーになっている現代社会では「お前さん、それじゃあ家族が離れていくよ」とは誰も言ってくれないのである。

 大人の世界では、他人がまずい言動を繰り返していても叱ってくれる人はいない。ただ黙っていられるか、距離を取られてしまうだけである。

 ひょっとしたらこの男性の兄弟や妻も、最初のうちは注意や忠告ぐらいはしていたのかもしれない。だが、「言うだけ無駄、言っても逆恨みされるのが関の山」と思って距離を取ることにしたのだろう。

 こんな具合に、まずい言動を繰り返している大人は、「自分の何がまずいのか」を自覚する機会もないまま、人が離れていき、唯我独尊に陥ってしまう。

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