さらに、ベゾス氏の野望は月や太陽系に及ぶ。19年はアポロ計画による人類初の月面着陸から50周年になるが、彼は18年、月面に人類の恒久的拠点を作ることを発表。19年5月には輸送システムの核となる月面着陸船「Blue Moon」のコンセプトを発表した。3年前から検討が進められてきたという着陸船は4本足で小さな家ほどの大きさがあり、探査車や実験機器などに加えて、宇宙飛行士を乗せての着陸も視野に入れている。
今後のスケジュールでは23年までの月面到達を目指しているとのことだが、この時間軸は先日トランプ政権がNASAに対して指示した「24年までの有人月面着陸」を意識したものだろう。実際、ベゾス氏も「Blue Moonをもとにした新しい着陸船が(NASAに)協力できるだろう」と発表するなど、関連するコメントをしている。
そしてBlue Moonと同時に公表したのが、地球近くの宇宙空間に1兆人収容可能な円筒形のコロニーを作るというビジョンだ。ベゾス氏の指導教官である物理学者ジェラード・オニール氏の構想が大本にあるとのことだが、日本人の私たちにとっては、アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズなどでみてきた世界観と似た印象も受ける。
「オニール・シリンダー」といわれる宇宙空間に浮かぶ1つのコロニーは直径3〜6キロメートル、全長30キロメートルの巨大な円筒で、数百万人が住むことを想定している。回転することで人工重力を発生、可動式の鏡によって太陽光を反射して内部に取り込み昼と夜を作りだすというコンセプトで、地球と行き来する生活も可能になるという。まさに規格外のコンセプトだ。
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