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「まず、お手元の資料を御覧ください」で始まる会議が致命的にダメな理由今日から始める“ダメ会議”脱却術(1/2 ページ)

» 2019年06月06日 07時00分 公開
[榊巻亮ITmedia]

この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。


 「脱ダメ会議」の実現に向け、会議の基礎を解説するこの連載。初回では「会議の4つのフェーズ」と「8つの基本動作」の全体像を、2回目は基本動作の1つ目「会議の終了時に『決まったこと』『やるべきこと』を確認する」を紹介した。今回は、基本動作の2つ目となる「会議の開始時に、『会議の終了条件』を確認する」について解説しよう。

会議でやるべき8つの基本動作

  1. 会議の終了時に、「決まったこと」「やるべきこと」を確認する
  2. 会議の開始時に、「会議の終了条件」を確認する  ←※今回はここ
  3. 時間配分を確認する
  4. 議論を可視化する
  5. 「4つのP(目的、人、進め方、装備)」を押さえて会議を準備する
  6. 全員から主張を引き出す
  7. 対話を促し、合意形成する
  8. 振り返りをする
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基本動作2:会議の開始時に、「会議の終了条件」を確認せよ

 基本動作1は会議の最後にやるべきことだが、基本動作2「『会議の終了条件を確認する』」は、“会議の最初”にやるべきことだ。

 皆さんは、こんな会議の始まり方に覚えがないだろうか。

さて、定刻になりましたので始めます。まず、お手元の資料を御覧ください

みんなそろったな? 集まってもらったのは、先日発生した問題について意見を聞かせてもらうためだ。A君どう思う?

 一見、普通の始まり方に見えるが、実はどちらも致命的にマズイ状態だ。なぜなら、「どうなったら会議が終わるのか」がさっぱり分からないからだ。「意見を聞かせてもらいたい」というが、どうなったら会議終了といえるのか?

  • 参考程度に数個意見が出たらそれでいいのか
  • 大小問わず全部出しきったら終わりなのか
  • 意見を出して、有力な案を一つ選んだら終わりなのか

 どれを目指すかによって、やることも参加者の意識も変わる。スポーツでいえば勝利条件だ。「決まった時間内で相手より一点でも多く取ったら勝ち」「先に一定の点数を取ったら勝ち」など、いろいろな勝利条件があるが、条件によって戦い方も異なるだろう。

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 会議がどうなったら終わるのか分からないまま議論を続けるのは、どうなったら勝てるのか分からないまま、ボールを蹴っているのと同じ状態だ。こう書くと、いかに致命的な状況か分かるだろう。

 では、会議における勝利条件は、どうやったら明らかにできるのだろうか?

「会議のゴール≒終了条件」を確認する

 やるべきことは極めてシンプル。会議の開始時に「会議のゴール≒終了条件」を確認する。これだけでいい。

 よく会議の教科書には、「目的を明らかにせよ」と書いてあるが、これはお勧めしない。「共有することが目的だ」「議論することが目的だ」と、「すること」を目的に挙げる人もいるが、これでは全く意味がない。

 目的というざっくりした言葉に踊らされて「すること」を目的に上げてしまう。スポーツでいえば、「ボールを蹴ること」「ボールを相手のコートに入れること」だ。これが「目的です」といわれると、めちゃくちゃ違和感がある。

 だから、ゴールは「状態」で考える必要がある。「どういう状態になったら会議を終わりにできるのか」「どうなったら勝利できるか」を考えるのだ。

 そもそも、会議は何らかの状態変化を起こすためにやっているはずだ。散々やっておいて、「やる前とやった後で何も変わらなかったね」なんて会議はありえないだろう。会議をすることで、「どういう状態に変化できればいいのか」「どういう状態を作り出せばいいのか」を考えなければならない。そのため、「終了状態」を考えると的確なゴールを設定しやすくなる。

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