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ガンダムとハローキティがそれぞれ「ハリウッド映画」作る――サンリオと創通の仕掛け人が明かす「世界制覇の勝算」海外展開に挑む(1/5 ページ)

» 2019年06月06日 06時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
phot 「ガンダム派」と「ハローキティ派」に別れて戦う“対決プロジェクト”のキービジュアル

 「2019年サンリオキャラクター大賞」で、令和初の1位に「ハローキティ」が輝き、話題になっている。3月にはサンリオと大手広告代理店・創通が「機動戦士ガンダム」と「ハローキティ」のコラボ企画、「ガンダムvsハローキティ」を発表した。「ガンダム」が今年で40周年、「ハローキティ」が45周年を迎える節目の年を記念したもので、極めて“異色”のコラボといえる。

 今回は「対決」をテーマに、流通を巻き込んだ消費者参加型のプロジェクトとなっている。

 なぜ、この異例の「対決」へと至ったのか。そしてこの先の海外展開をどう考えているのか。機動戦士ガンダムの版権管理などを手掛ける創通の田村烈常務取締役と、サンリオの下村陽一郎取締役がITmediaビジネスオンラインの取材に応じ、その真相を明かした。

phot インタビューに応じる創通常務取締役の田村烈氏(左)、サンリオ取締役の下村陽一郎氏

ガンダムとキティの組み合わせ

――今回、「ガンダム」と「ハローキティ」という「二大国民的キャラクター」が「対決」する構図になりました。なぜ、このように至ったのか、きっかけや狙いを教えていただけますでしょうか。

田村: 実は、最初は全く別の案件から始まった話なんです。そこでサンリオさんと話しているうちに、2019年に、メインキャラクターの節目が、キティちゃんが45周年、弊社のガンダムが40周年と重なることが分かったんです。そこで、「何かやれたらいいですよね」というところから始まりました。

 ただ、今回の発表を聞いて感じられたと思うのですが、「でも、どうやるんだろう」というところで長い間止まっていたと記憶しています。やはり、キティちゃんもガンダムもそれぞれ根強いファンがいるので、こうしたファンを裏切らないようにしながら話を進めなければならず、試行錯誤をしながら打ち合わせを重ねていきました。結果、今回は「対決」というコンセプトで打ち出しました。

――なぜ、「対決」というところに行き着いたのでしょうか。

田村: 互いのキャラクターを支えているファン層のターゲットが、男女層も含めて明確に異なるからこそ実現した形ですね。やはり、「ガンダム」と「ハローキティ」のコラボというところで、「どうやって?」と皆さん思うと思いますが、そのギャップを生かしたかった狙いがあります。

――「ハローキティ」という国民的キャラクターとコラボする上で、創通としてどんなところに意義を感じていらっしゃいますか。

田村: キティちゃんが今年45周年ということで、ガンダムより5年先輩にあたります。サンリオさんはキャラクター業界のライセンスビジネスにおいて熟知している企業だと思っていますし、客層が違うところも含め、コラボすることによって、さまざまな面でとても貴重な経験ができると会社としては捉えています。

――サンリオはなぜいろいろなキャラクターがある中で、「ハローキティ」を打ち出していこうという話になったのでしょうか。

下村: やはり、ハローキティはサンリオの看板キャラクターであり、一番メインのキャラクターです。サンリオ全体が持っているキャラクターのポートフォリオにおいても、40%以上を占めるキャラクターになっています。つまり継続的なブランディングが一番必要な部分とも言えます。何より創通さんのほうでもガンダムという代表的なキャラクターですので、サンリオを代表するということを考えると、やっぱりキティを出していこうということになりました。

――サンリオにとっては、「ガンダム」という世界的人気のあるキャラクターと組むメリットや意義をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

下村: 田村さんも仰っていましたが、やはりキティは女性ファンが多く、ガンダムは男性ファンが多い。あまりファン層が被らないところがあります。お互いのファンが相手キャラクターを知ることにより、ファン層も広がっていくのかなと期待していますね。また、キティもガンダムも世界に訴求できる日本のキャラクターだというところで、日本のキャラクター同士がタッグを組んで、世界に打って出る狙いがあります。

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phot ハローキティ側のキービジュアル

【訂正:2019年6月11日午後7時30分 初出で記事内で記載されていた「ガンダムとキティが一緒に『ハリウッド映画』を作る」という内容は事実ではありませんでした。誤解を招く表現があったためタイトル及び該当箇所を訂正いたします】

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