働き方改革関連法に盛り込まれた「時間外労働の上限規制」。大企業では2019年4月から、中小企業では20年4月から、原則として残業時間の上限は「月45時間・年360時間」になる。しかし、中にはこの規制を良く思っていない企業もあるようだ。
人材会社のエン・ジャパンが時間外労働の上限規制の是非について聞いたところ、31%の企業が「良いと思わない」と回答した。回答した企業からは「労働時間が減ったところで、従業員の負担が減るわけではない」「人員不足を解決してこその制度であり、その対策を優先すべき」といった意見が出た。
「良いと思わない」と答えた企業の割合が最も高い業種は「広告・出版・マスコミ関連」(62%)で、唯一5割を超えた。企業からは「クリエイティブ職にはナンセンスな規制」「業界の実情と法律が乖離していて、机上の空論でしかない」といった声が上がっている。
次いで多いのは「不動産・建設関連」で36%。その後「流通・小売関連」(34%)、「金融・コンサル関連」(33%)と続いた。最も少ないのは「IT・インターネット関連」で18%だった。
時間外労働が増える理由を聞くと、最も多く上がったのは「常に仕事量が多いから」と「人員不足だから」でともに72%だった。「時季的な業務があるから」(60%)や「取引先の要望に応えるため」(53%)も5割を超えた。
上限規制への対応状況については、全体の58%の企業が「対応策が決まっている」と回答した。最も対応が進んでいるのは「金融・コンサル関連」で83%だった。エン・ジャパンは「回答企業の属性を見ると、19年4月から上限規制の対象になっている大企業の割合が他業界と比べて多い。法律を守って早めに対応したのではないか」としている。
対応が決まっている企業に具体的な取り組みを聞くと、「業務分担やフローの見直し」と「管理職への教育(時間管理)」が同率トップで58%だった。その後「時間外労働の上限目標を厳格化」(53%)、「時間外労働の事前申請制度」(52%)、「社員を増やす」(34%)――と続いた。
調査は3月27日から5月14日にインターネット上で実施。同社のサービス「人事のミカタ」を利用する企業724社から回答を得た。
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