NZ産のキウイは「アゲアゲ」なのに、なぜ国産は「サゲサゲ」なのかスピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2019年06月25日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

 個人的な話で恐縮だが、近ごろ「幻聴」に悩まされている。仕事が煮詰まったとき、クルマを運転しているとき、あるいはベランダで洗濯物を干しているときなど、時と場所を選ばす、どこからともなくこんなメロディーが聞こえてくるのだ。

 「キウイ食って アゲリシャス アゲリシャス 気分を上げるデリシャスなキウイ アゲリシャス アゲリシャス」

 頭をふって我に返っても、気がつけばまた鼻歌交じりで口ずさんでいる。完全にあのCMをつくった人々の思うつぼになってしまっているのだ。あのCMとは言わずもがな、ニュージーランド産のキウイでおなじみのゼスプリのCMである。

スーパーなどでゼスプリのキウイを目にすることが多くなった(出典:ゼスプリのFacebookぺージ)

 同社のオリジナルキャラクターのキウイ・ブラザーズが、2000年代初頭、世界的ヒットとなった『恋のマイアヒ』の替え歌にのせて踊る「アゲリシャスダンス」が現在、テレビCMで大量に流れている。それを受けて、筆者のように「耳にこびりついて離れない」という人が続出しているだけではなく、流行の「全力でやってみました動画」に挑戦する人も現れた。有名人では、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんが動画配信アプリTikTokにキュートなダンスを投稿して話題になっている。

 そういう楽しいムードに水を差すようで恐縮だが、日本の未来を考えると、アゲリシャスなんてノーテンキに踊っている場合ではない。

 CMがバズってゼスプリのニュージーランド産キウイが「アゲ、アゲリシャス」と勢いづけばづくほど、国内キウイ農家が「サゲリシャス」になっているからだ。

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