メルカリは中古品を売買するという意味では、リサイクルショップと同じジャンルのビジネスのように見えるが、まさに似て非なるものである。リサイクルショップは中古品売買自体が本業であるが、メルカリは中古品流通に関わる消費者の生活に関わるビッグデータをマネタイズすることが目的のプラットフォーマー企業なのだ。
中古品売買で収益を確保することもできるが、それよりもまずは収益を求めずに中古品市場の圧倒的なシェア確保を目的としているので、リサイクルショップが彼らと同じ土俵で競争をしようとすれば、痛い目にあうだろう。メルカリは、中古品売買手数料のみで食べていくつもりは毛頭ないのだ。
中古品売買に全く用がないという消費者は少数派であり、大多数の消費者はフリマアプリの世話になる可能性があるはずだ。こうした消費者の多数派との接点を持てる可能性があるフリマアプリにおいて、圧倒的なトップシェアを確立しつつあるメルカリは、消費者の新たな収入源を生み出すことによって、これまでになかった切り口で消費者の資金の流れをつかもうとしている。メルカリは斬新なサービスを次々と繰り出して、利用者を囲い込もうとするだろう。
中井彰人(なかい あきひと)
メガバンク調査部門の流通アナリストとして12年、現在は中小企業診断士として独立。地域流通「愛」を貫き、全国各地への出張の日々を経て、モータリゼーションと業態盛衰の関連性に注目した独自の流通理論に到達。
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