米国のミレニアル世代の数は、7500万人以上いるとされ、無視することができない非常に大きなマーケットだ。ダイヤモンド業界にとって、売り上げの4分の1ほどを占める婚約指輪や結婚指輪が売れないという状況は、まさに死活問題になる。
近年、米国では宝石店の閉店が相次いでいるが、こうした背景が少なからず影響していると見られている。17年には817店舗ほどが閉店し、18年にはその数を上回る852店舗が閉鎖に追い込まれ、業界が縮小傾向にある。
もちろん、新規の店舗が全くオープンしていないわけではない。毎年、新たに店舗が増えているが、その数は閉店していく店舗数を埋め合わせるほどではない。
このような危機的状況の中、婚約指輪の売り上げを回復させたブランドもある。大手ブランドのティファニーだ。
ティファニーは、いったい何が他と違ったのだろうか。ティファニーは15年に、実在する男性カップルをモデルに起用し、同性愛カップルをターゲットにした婚約指輪の広告キャンペーンを打ち出し、世間を驚かせた。
それまで、女性がターゲットだった婚約指輪に対して、男性向け婚約指輪という新しいジャンルを注目させるきっかけを作った。男性カップルの場合、両者が婚約指輪を購入するため、2倍の売り上げが期待できる。実際に、低迷していた婚約指輪の売り上げを11%増に回復させている。
ただ、言うまでもなく、ティファニーのように、既存とは異なる顧客を開拓して売り上げを伸ばすというのは、そう簡単なことではない。
米国では多くの場合、婚約指輪を取り扱うのは、地元のみで展開するような小規模な宝石店だ。そのため、大手ラグジュアリーブランドのように、大々的に広告キャンペーンを展開するなんてことはなかなかできない。
そもそも、ミレニアル世代はダイヤモンドを敬遠する傾向があるという。例えば、ダイヤモンドを購入するプロセスが気に入らないようだ。
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