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» 2019年07月01日 05時00分 公開

ワンマン社長の奴隷、3500万円の借金地獄――“31歳無職の男”は「伝説の居酒屋カリスマ」にどう成り上がったのか【後編】熱きシニアたちの「転機」(3/4 ページ)

[猪瀬聖,ITmedia]

銀座の「カニ好き中国人」を見て商機見いだす

 そのころから山本さんは、自分で店を経営するだけではなく、プロデュース業やコンサルティング業にも徐々に進出し始めていた。

 数年前、飲み仲間のビジネスマンから、「現地法人の社長を任された上海の火鍋チェーンが、うまくいかない」と相談を受けた。上海に飛んで調べてみると、「原価率は高いし、店自体にもワクワクしたものを感じなかった」。撤退を提案したが、それはできないという。そこで出したアイデアがカニ料理店への業態転換だった。じつは山本さんには、中国と聞いてピンと来るものがあった。

 そのころ山本さんは、東京・銀座のお気に入りのカニ料理店にひんぱんに通っていた。ところが少し前から、予約が取りにくくなっていた。聞くと、中国からのいわゆるインバウンドの観光客が大勢押し寄せているせいだという。「火鍋は確かに中国ではマーケットは大きいが、競争相手も多い。一方、中国人はこんなにカニ好きなのに、中国にカニ料理店はそれほどない。中国でカニ料理店をやればうまくいくのではないか」とにらんでいた。カニが安く大量に手に入ることを確認するため、わざわざ上海の卸売市場にも足を運んだ。

 ところが、本社の役員会に呼ばれてプレゼンしたら、「賛同者はゼロ」(山本さん)。だが、他に妙案もないので、取りあえず一番赤字のひどい店舗をカニ料理店に転換して様子を見ることにした。店名は、日本ブランドを強調するため、中国人に人気の観光地とシェフの名前をとって、「北海道 蟹の岡田屋」に決めた。これが大当たり。上海以外にも出店するなど、店舗網を拡大中だ。

 山本さんは現在、牛串チェーンの「本家正田屋」、もつ焼きチェーンの「山喜多」の経営のほか、パンケーキチェーンの「湘南パンケーキ」の経営にかかわるなど、活躍の場を拡大。さらには、羽田空港跡地の大規模再開発プロジェクトの一環として、2020年、東京五輪パラリンピックに合わせて開業する飲食施設「羽田昔ばなし横丁」のプロデューサーも任されている。

phot

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