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» 2019年07月05日 07時30分 公開

『AKIRA』悲願のハリウッド映画に! 日本作品の実写化が止まらない真相ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(5/6 ページ)

[数土直志,ITmedia]

欲しいのは「世界的メジャータイトル」

 世界で日本コンテンツを取り巻く環境が変わる中で、実写化の際に求められるものも変わっている。かつては『銃夢』『All You Need Is Kill』『獣兵衛忍風帖』(映画化は実現せず)といった、知る人ぞ知る作品がピックアップされることも多かった。そこには日本ならではの世界観、ストーリー、表現を映像化したいというクリエイティブ面での要望が大きかった。

 しかし近年、新たに実写化企画として挙げられるのは、むしろ世界的に知られたアイコンやメジャータイトルである。『名探偵ピカチュウ』が公開された『ポケットモンスター』に『NARUTO』や『ハローキティ』『スーパーマリオブラザーズ』『ソニック・ザ・ムービー』『モンスターハンター』……。ゲームタイトルが目立つのは、ゲームは他のコンテンツに較べても大衆へのリーチが大きく、知名度が高いからだろう。それは大衆的とは言えなかった『銃夢』『All You Need Is Kill』と対照的だ。

 かつて日本原作は斬新なアイデアやストーリーはあっても、知名度不足が映画化実現の決め手に欠けることも多かった。しかし現在、日本コンテンツに期待されるのはむしろ、世界的な知名度である。その中には先の中国での人気も含まれる。

 では今後も、こうした日本コンテンツへの関心は続くのだろうか。おそらくこの流れは一時的ではなく、しばらく続く可能性がある。よく言われているハリウッドでの映像化コンテンツ不足から、足りない分を海外に求めるという動きもあるだろう。

 しかし、やはり大きな理由として挙げられるのは、10年代以降加速している日本アニメ人気である。これまで実写化企画にあがってきたタイトルは、90年代以降、2000年代初めまでの日本アニメブームの際に盛り上がった物が多い。『攻殻機動隊』『カウボーイビバップ』『ポケットモンスター』といった作品だ。

 しかし日本アニメの米国での人気は00年代半ばにいったん落ち着きを見せ、現在は12年以降に始まった新たな波の中にある。現在の人気が、00年代初めの波に匹敵する次世代のムーブメントになるかもしれない。

「単なる権利の売り渡し」ではダメ

 もちろん課題はある。1つは海外実写化を日本側がどう生かすかという点だ。単なる権利の売り渡しに終われば、利益は限られる。日本の原作者の意に沿わない作品が制作されたこともこれまでにはあった。

 今回挙げなかった、日本発で世界的なビッグヒットとなったコンテンツの1つに『トランスフォーマー』がある。しかし、タカラの開発した元の玩具をベースにした映像作品としての 『トランスフォーマー』の権利は米国側にある。

 『パワーレンジャー』も同様かもしれない。東映の戦隊シリーズが源流にある2017年の劇場版『パワーレンジャー』における東映の役割は、極めて限定されている。戦隊シリーズとのつながりから、パワーレンジャーの玩具はグローバルマーケットでも長年バンダイが中心となっていたが、18年に作品の権利がバンダイのライバルのハズブロに移動した。グローバルの玩具展開はバンダイの手から離れる。

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