『AKIRA』悲願のハリウッド映画に! 日本作品の実写化が止まらない真相ジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(6/6 ページ)

» 2019年07月05日 07時30分 公開
[数土直志ITmedia]
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ハリウッドと渡り合える新アイデアを

 そして、日本の人気作品が出し尽くされることもあるかもしれない。 『君の名は。』だけでなく、『僕のヒーローアカデミア』『進撃の巨人』のような最新作の実写映画化が既に言及されている。日本の有力コンテンツは思ったより早く出し切られてしまうかもしれない。主要なタイトルが無くなれば、人気を理由に日本コンテンツに目をつけたハリウッドもその時点で関心を失い、次に続かない。

 日本が目指すべきは、すでにあるメジャーコンテンツだけでなく、新たなアイデアやコンセプトをどれだけ売りにできるかだろう。できれば企画段階から映画化に関われる体制があると良い。さらに製作自体に参加し、作品のヒットが日本側の収益拡大につながる形が望ましい。

 このハードルは高いように見える。しかし『名探偵ピカチュウ』では、株式会社ポケモンや東宝が製作に参加している。『カウボーイビバップ』では日本のスタッフも製作メンバーに名を連ねる。ここでも時代は変わってきている。日本アニメの実写化においては、日本側は強力なコンテンツを持った上で、どれだけ良い条件でハリウッドと取引できるかが問われる段階に突入しているのだ。

著者プロフィール

数土直志(すど ただし)

ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に映像ビジネスに関する報道・研究を手掛ける。証券会社を経て2004 年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立。09年にはアニメビジネス情報の「アニメ! アニメ! ビズ」を立ち上げ編集長を務める。16年に「アニメ! アニメ!」を離れて独立。主な著書に『誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命』 (星海社新書)。


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