メディア
インタビュー
» 2019年07月09日 05時00分 公開

大バッシングから学んだ「真っ向勝負」:2度の網膜剥離、へし折られた腕……負け続けた格闘家・大山峻護が描いたセカンドキャリア (3/5)

[瀬川泰祐,ITmedia]

「上等だよ、見てろよ」

 大山は、引退後の15年より、格闘技とフィットネスを融合したトレーニングプログラム「ファイトネス」を通じて、格闘技の楽しさを伝えるとともに、健康的な体づくりと、くじけないメンタリティーを育む活動をしている。特に近年は企業の社員研修としてのニーズが高まっており、これまで100社以上の企業で導入されてきた。

 だが、現在に至るまでの道のりはとても苦しいものだったという。特に、引退直後は、未来を描くことができない時期が長く続いた。当時の状況を聞くと、大山の言葉が熱を帯び始める。

 「引退して目標がなくなってしまい、半年くらい悩みました。引退すると、それまで周りにいた人たちが引いていくのが分かるんですよ、肌感覚で。そのとき感じたあの寂しさは今でも忘れられません。 “上等だよ、見てろよ”って。あそこで僕の心に火がつきました」

 大山は、手元の携帯電話に登録されている知人に片っ端から電話して、今の自分にどんな可能性があるのか、アドバイスをもらいながら、将来の仕事を模索し始めた。

 半年ほどしたある日、精神的に病んでいる会社員が非常に多く、企業にとってもメンタルヘルスを巡る労働問題が大きな課題になっている現状を知る。さらに、15年12月より厚生労働省がストレスチェックを義務付けするという情報を耳にし、大山は可能性を見いだしたのだった。

 「国が動くほど、精神的に病んでいる人が多い状況だと知りました。僕が持っている運動プログラムを企業の方々に提供したら、経営者にも社員にも喜んでもらえるんじゃないかと思ったのがきっかけでした。でも、何よりうれしかったのは、目標が生まれたことでした」

 目標を描くことができた大山は、現役の頃と同じように再び未来を描き、ただガムシャラに突っ走って、「ファイトネス」を普及させることに成功した。

photo 格闘技の要素を取り入れたプログラム「ファイトネス」に励む大山さん(以下、ファイトネスでの写真は筆者提供)
photo 真剣な表情で参加者のパンチを受ける大山峻護氏。ファイトネスでもミット打ちは、人気のメニューだ(筆者提供)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間