ではLibraに関連したビジネスをスタートさせたいと考えた場合、どんな可能性があるのだろうか。ひとつはもちろん、Libra協会にメンバー企業として加入し、分配金をもらえるLIT(Libra Investment Token)に投資することだが、これは現実としては難しい。
あり得る話としては、Libra協会が認定する「認定再販業者」になるというものがある。これは各国でLibraコインを利用したい人にLibraを販売する事業者だ。販売時に手数料を得るビジネスになると考えられる。
次に、技術系企業のビジネスとしてあり得るのがLibraブロックチェーン上で動くサービスの開発だ。「イーサリアムなどで使われているものでよくあるのが、DAppsやゲームだ」(志茂氏)
Libraは、イーサリアムなどと同じようにブロックチェーン上でプログラムを動かすことができる。Move言語という専用言語が使われており、「スマートコントラクトとトランザクションスクリプトに分かれている。(イーサリアムに使われている専用言語)Solidityよりも柔軟だという人もいる」(志茂氏)。
イーサリアムでは、ブロックチェーン上で動くアプリケーションであるDAppsや、ゲームが各種登場している。Libraでもゲームなどが登場し、課金通貨としてLibraコインを使うというのは自然な流れだ。
パブリックブロックチェーンではなく協会が運営するコンソーシアム型であることから、DAppsなどの開発にどのくらいの自由度があるのか気になるところだが、「ウォレット開発やDApps、トークン発行も自由ににできるとされている」と志茂氏。バリデーションノードこそ協会しか立てられないが、ビットコイン同様に取引が記録されたブロックチェーンも、誰でも見られるようになる模様だ。
志茂氏は、実際にはイーサリアムと競合するような使い方が増えるのではないかと見る。「規制があることで安心できると考えるアプリケーションは、イーサリアムからLibraに動くのではないか。またICOやSTOでも、本人確認をしっかり行うLibraでは反社会的勢力による購入を防ぐことができる。また、調達側にとっても価格が安定していたほうがいい」
最後にスケールの大きなLibra関連ビジネスとして、同様のスキームで新たな暗号通貨を立ち上げるというものがある。FacebookとともにGAFAと呼ばれるGoogleやApple、Amazonが、Libraに参画することは考えにくい。しかし、これらの企業がLibraと同じように暗号通貨を立ち上げる可能性はある。「他のGAFAも同じスキームで始めるのではないか?」(志茂氏)
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