長谷川: そう、メルカリでは、従業員が最高のパフォーマンスを出せるような制度がそろっていますね。最高のパフォーマンスを出すために必要な投資はしていこうということなので、PCのスペックも選択できるわけです。
それから、チームビルディングという制度があり、これはお互いの信頼関係が高いとチームのパフォーマンスが向上するので、ランチやディナーなどで懇親を深めましょうというものです。これも特に予算があるわけではなく、マネジャーが必要だと判断すれば良いわけです。
私見ですが、逆に予算が決まってると、月末に「余ってるから使いきっちゃいましょう、じゃないと来期の予算を減らされるから」といったような力学が働くのではないでしょうか。
岩崎: そうですよね。権限のある上司は、メンバーにどんどん自由にやらせればいいんです。何かあったら責任は取らなきゃいけないけれど、それも大したことがない範囲のものがほとんどですよ。だったら権限委譲した方が絶対いいし、何よりも僕がその方が楽しいです。
長谷川: 岩崎さんは今、42歳なんですよね? 8つの会社を経験してきた立場から、一つの組織でずっとやってきて少し悶々としている同年代の人に対して、何かアドバイスをお願いします。
岩崎: この歳で8社って、一社一社は短いものの、変化に対する柔軟性を学べたのは良かったですね。ありとあらゆることが変わったとしても、何かやることを見つけて生きていけるというのが一番の価値だと思っています。
これは経験しないと分からないことですが、あえてそういう経験をしていない人たちにも言いたいのは、「今後は、もっと変わるよ」ということです。人口も減るし、われわれの業界でいえば住宅着工件数がモロに減っているなかで、変化は避けられないわけです。そんな中で生きていくには、変化に自分を合わせていく努力をするというのが、一つの戦略になるんじゃないかと思うんです。
長谷川: そういう風にできるのは、岩崎さんだからでしょ? という人に対しては?
岩崎: 確かに、人の本質はそんなに簡単に変わらないですよね。でも、本質は変わらなくても行動を変えられる人がいて、結局そういう人たちが生き残るんですよ。早く変わった方がチャンスが増えるというときに、どっちを取りますか? というのは、みなさんが決めることだと思います。
特にITの分野では完全に「変化が正義」です。たかだか3年前のITを振り返っても、すでに時代遅れなものって多いじゃないですか。“変わることを前提に選択し続けることができる「人」や「会社」”がチャンスを得られるんです。
僕なんかは、そういう意味であえてWebサービス業界から製造業界に飛び込んで「大きく変化する道」を選びました。苦労もあるけれど、こういう選択をした人が少ないからこそチャンスがたくさんあるんですよね。
長谷川: じゃあ、どんどん変化してチャンスをつかみたい人は、LIXILさんに行けと。
岩崎: そういうことです(笑)。ほかの会社でもいいですけど、エンジニアはコンサルやベンダー、外資に行くという選択肢もあるけれど、日本のレガシー企業にいって価値を出していくという道も大いにあるよ、と言いたいですね。
(前編を読む)
2018年6月、LIXILに入社。ベンチャー企業にて会社立ち上げや事業立ち上げを複数経験後、楽天、リクルートテクノロジーズ、DMM.comなどで情報システム部長やアーキテクトとして従事。LIXILでは国内グローバルを含めたインフラ・情報セキュリティ・コーポレートIT領域の責任者として次世代化・基盤強化・グローバルシナジー強化を推進。2019年7月より3領域に加えLIXIL国内グローバルを含めた基幹システム全体(SoR)を統括。合わせて日本やグローバルで稼働中の基幹システム刷新プロジェクト(SAP・S4/HANA化)の責任者としてLIXILのIT改革を幅広く推進。また日本で最大規模を誇るエンジニアリングコミュニティー、日本ネットワークオペレーターズグループ(JANOG)のコミッティーメンバーでもある。
1994年、アクセンチュアに入社後、国内外の小売業の業務改革、コスト削減、マーケティング支援などに従事。2008年、東急ハンズに入社後、情報システム部門、物流部門、通販事業の責任者として改革を実施。デジタルマーケティング領域では、Twitter、Facebook、コレカモネットなどソーシャルメディアを推進。その後、オムニチャネル推進の責任者となり、東急ハンズアプリでは、次世代のお買い物体験への変革を推進している。2011年、同社、執行役員に昇進。2013年、ハンズラボを立ち上げ、代表取締役社長に就任。東急ハンズの執行役員と兼任。AWSの企業向けユーザー会(E-JAWS)のコミッティーメンバーでもある。2018年10月から現職。
ホスト:長谷川秀樹
執筆:やつづかえり
企画協力:酒井真弓
企画・編集・マッチメイク:後藤祥子(ITmedia ビジネスオンライン編集部)
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