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変化が避けられない時代に「老舗企業」が生き残る方法は 8社を渡り歩いたLIXIL IT部長が学んだことIT酒場放浪記(2/3 ページ)

» 2019年07月26日 08時00分 公開
[やつづかえりITmedia]

岩崎: そうそう。Web業界にはITエンジニアなんて腐るほどいても、製造業に来てみるとすごく少ない。それで外部のベンダーやコンサルの力を借りるわけですけど、お金だけがどんどん出ていって、望んだものができるかというと大いにギャップがあります。そういうことが本当に無駄だと思うので、Web業界にいるエンジニアにはぜひこっちに来てほしいです。大きなことをやりたかったら、ここにパラダイスがあるよ、と言いたいですね。

人事や制度を変えずにIT改革は成し得ない

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長谷川: LIXIL情報システム部の管理職って、統合した5社のうちのどこかでずっとやってきた人なわけですよね。話が合わなかったりしないですか?

岩崎: 意外とそうでもないですよ。そこは、前CIOの小和瀬浩之さんが、外から来たときにワーっと変えて、地ならしをしてくれたんですね。今は、新しい取り組みへの耐性がついていて、そこも強さにつながっているんだと思います。

長谷川: なるほど。

岩崎: もう一つ、LIXILがすごいのは、僕らがやっている改革に合わせて、スペシャリストをちゃんと評価できるように、人事制度も変えているところなんですよ。

 レガシー企業のキャリアって、係長になって、課長になって、部長になって、役員になって……というように道が決まっていて、外からスペシャリストを入れる場合は「特殊採用」みたいな例外を作ったりしますけど、LIXILはIT系の人材に対してオフィシャルに3つのパスを作ったんです。

 今まで通りマネジャーになっていく道と、エンジニアというスペシャリストでやっていく道と、プロダクトオーナーとして事業を見ていく道――という3つをつくったんですね。Web系の企業が当たり前にやっていることをレガシー企業でやってみせるというのは、大きな変革だと思います。

長谷川: ほかの会社でもどんどんやってほしいですよね。

岩崎: そうそう。IT改革しようとしている企業は、人事や制度を変えないと絶対成功しませんよ。いくらきれいごとを言ったって、人事制度改革が追い付いていないと、みんな不満をためて辞めちゃいますから。

長谷川: そういう意味では、「やっぱりメルカリは違うな」と思ったことが今日もあって。Sick Leaveって分かります? 有給休暇とは別に、病気休暇を年に10日くらい取れるようにしようっていう話なんです。アクセンチュアにもSick Leaveはあったけど、診断書が必要なんですよ。メルカリは、社員に対して性善説でいこうという原則があるから、そんなの不要だと。そういうところが最高だと思ってます。

岩崎: メルカリは性善説のカルチャーを徹底していますよね。PCだって希望すれば新しいのがもらえるんでしょう?

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