完成検査問題以来、スバルは苦しんでいる。ステークホルダーからは厳しい指摘を受け、ロイヤリティユーザーの一部も離れ始めている。そうした中で、今、スバルは「変わらないと未来がない」ことに気づいている。それは事あるごとに伝わってくるのだが、しかし一方で、どう変わればいいのか、あるいは何を変えればいいのかということについて、スバルはまだ答えをつかんでいないように見える。
世の中には「岡目八目」という言葉がある。当事者には見えない重要なポイントが、第三者からは見えることはよくあることだ。筆者から見えるスバルの状況がどんなものなのか、それを書くのがこの原稿の目的だ。
筆者の思い過ごしでなければ、「スバルよ変われ!」という記事を書いて以来、スバルはこれまで以上に、筆者に取材の便宜を図ってくれるようになった。
今回取材した、北米トップクラスの販売力を持つペンシルバニア州のショッカ・スバル
それは、スバルの苦衷(くちゅう)を現しているのかもしれないが、藁(わら)をも掴(つか)む思いで、外部からの批判の声に耳を澄ませ、スバルが自ら変わりたいと強く願っているという意味だと筆者は解釈している。世界のどこの国でも、自動車産業は例外なく国益を担っている。スバルももちろんその一角を占め、日本の産業界の、ひいては日本国民の幸せを支えている。
だからこそ、微力ながらスバルの変革を応援したいと思っている。そんな筆者を、スバルは北米の有力ディーラーへと招待した。多くの方がご存知の通り、ここ数年スバルは北米で絶好調である。その北米でのビジネスを見せたい。多分そう考えたのだと思う。
- スバルが生まれ変わるために その2
北米での取材の途中、いくら議論しても結論は出なかった。そこで帰国後、スバル本社でもう一度取材を行う。しかし、本社に出向いても、結局のところスバル側に投げてあった「戦略があるかないか、あるなら具体的な戦略を教えて欲しい」という質問には明確な回答はなかった。スバルは変わらなくてはならないことをすでに十分分かっているはずだ。しかしながらその変革を実現していく組織改造が、まだ始まっていないのだと思う。
- スバルよ変われ
スバルが相次いで不祥事を引き起こす原因は一体何なのか? スバルのためにも、スバルの何が問題なのかきちんと書くべきだろうと思う。
- 続・スバルよ変われ(前編)――STI社長インタビュー
スバルの問題点を指摘した記事『スバルよ変われ』。そこで書いた「安全と愉しさ」だけでもなく、スバルの中期経営計画(中経)についても疑義があった。それは手の内を何も明かさない中経に何の意味があるかという疑問だ。スバルはもっと情報を開示し、スバルとはどういう価値を生み出す会社なのか。
- 続・スバルよ変われ(後編)――2040年のクルマ
前編の「安心と愉しさ」を実現するための、スバルの新たな3つの軸と、未来のスバルへの情報開示をどうしていくのかという話に続き、2030年、40年のスバルはどうなるか。STI社長兼スバル技監である平川良夫氏へのインタビューから。
- なぜSUBARUは米国で伸びたのか マーケティング戦略の“真意”
SUBARU(スバル)が米国で着実に成長している。販売台数は10年間で約3.5倍に。好調の背景に何があるのか。そのマーケティング戦略について、現地で探った。
- 雪上試乗会で考えるスバルの未来
スバルは、青森市内から八甲田山、十和田湖を経由して安比高原までのコースを走るアドベンチャー試乗会を開催した。日本屈指の過酷な積雪ルートでスバル自慢のAWDを検証してくれというわけだ。
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