クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

スバルが生まれ変わるために その1池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)

» 2019年07月22日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

北米ディーラーでのインタビュー

 ペンシルバニア州アレンタウンの「ショッカ・スバル」は、新車・中古車を合わせたスバル車の販売数で全米1位。新車のみに関しても、全米最多級である。この販売店のオーナー、グレッグ・ショッカ氏は、スバルの販売ネットワーク以外にも、ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、トヨタ、そして数々の米国ブランドなど14メーカーのディーラーを経営しているが、スバルの販売台数が最も多いという。

北米有数のスバルディーラー「ショッカ・スバル」のグレッグ・ショッカ氏。手にしているのは、スバルがNo.1評価を獲得したコンシュマーレポート4月号

 それだけの錚々(そうそう)たるメーカーと付き合っても、スバルに特別なシンパシーを感じるのだそうだ。スバルは中古車の売り上げも含めた販社の様子を、とても積極的に気にしてくれるという。なるほど、ビジネスライクな北米の自動車販売に対して、賛否あれども「系列」的風土が生み出した日本的経営の良いところが、販売店に響く部分があるのかもしれない。

 しかし、ここから以後、質問と答えが一向にかみ合わない。ちょっと辛いかもしれないが、我慢して読んで欲しい。

 一体どんなサポートをしてくれるのかと尋ねると、「スバルは他のメーカーと違い、とてもよく面倒を見てくれます。まるでそれは家族のようにです」という答えが返ってくる。なるほどそういう気持ちは分かったが、サポートの中身は何なのかと尋ねると、「中古車販売もしっかりサポートしてくれます」という答え。中古車の何がスバル独自プログラムなのかと聞くと「サーティファイドプログラムがあります」だという。

 いわゆる顧客満足プログラムだが、そんなものはどこもやっているはずだ。他社のプログラムとどう違うのかを問うても、「スバルのレベルは他社と違う。クルマの価値自体が違います」。いや、それでは取材にならない。ベンツ、BMW、アウディのドイツ3強メーカーなど、片手であしらうほどスバルの価値は高いというんだろうか? そう畳み掛けると「ドイツ車の価値だってもちろん低くはありませんが、販売台数はスバルの方がずっと多いのです」。

 とにかく「スバルは他と違う」と、この自動車販売のプロフェッショナルが、本気でそう思っていることはよくよく分かった。けれど、具体的に何がどう違うのかが全く説明されない。

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