男性: 私は経営のトップをやっていまして、ガンガン進むタイプですけど、後ろを向くと誰もついてきていないという事態に陥っています。大前学長がBBT大学を経営するなかで、まわりの社員の方に対する教育、もしくは指導はどういう形でされているのでしょうか。
大前: 私の仕事のやり方は、マッキンゼーのときも、自分の仕事以外は「こうしろ」とはあまり言いませんでした。チームが持ってきたもので、気に入らないものがあったらビリッと捨てるだけです。
当時マッキンゼーで一緒に働いていた人たちは、みんな私のことが怖かったと言いますが、あまり覚えていないですね。一方で、みんな育つことができたとも言ってくれます。 だから、基本的には自分が仕事をすることによって、結果的にまわりも仕事を覚えていくというやり方です。
BBTではたぶん、みんな私が暴走していると思っているんでしょうけど(笑)。秘訣は、古い人を繰り返し繰り返し重用して、やってもらうことです。
例えばこの経営者の話を聞きたいと思うと、担当者に伝えれば、全部コンテンツ化してくれます。経理は任せています。私はどこかで飲み食いしても、全部自分で出していますので、経理との関係はないです。そういう感じですね。
だから私は暴走していないんです。彼らの上に乗っかって、ちょっとずうずうしいかもしれませんが、なんとなく右代表みたいな顔をしているだけです。
一方で、新しいコンセプトを出すことはあります。先日、日本経済新聞の1面に、BBTの広告を出しました。広告の内容は、BBTを分かりやすく理解してもらうにはどうしたらいいだろうかと、社内で募集したんです。私が1面を買うから、そこにどういうものを作るか考えてくれと言ったら、30人が手を挙げてくれました。半年かけてやりましたが、これは盛り上がりましたね。
社員が会社をどう見ているのかが分かりました。応募があったうちの一つに『BBTはもはや大前ではない』なんていうのもありましたけど(笑)。幸い審査員が入賞と決めたのは『大前研一は偉そうにしゃべっているけど、あいつも毎日勉強しているんだよ』というものでした。
アイデアが出たらみんなで楽しむことです。本当に私はこの広告代を、自分で個人で出しました。そういう意味で、仕事は任せて、私はエンジョイしています。
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