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大前研一が息子たちに施した「21世紀型教育」とは?――「先生の言うことを聞くのよ」と言ってはいけない大前研一大いに吠える!【後編】(5/6 ページ)

» 2019年08月09日 05時00分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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自分が仕事をすることで、まわりが仕事を覚える

男性: 私は経営のトップをやっていまして、ガンガン進むタイプですけど、後ろを向くと誰もついてきていないという事態に陥っています。大前学長がBBT大学を経営するなかで、まわりの社員の方に対する教育、もしくは指導はどういう形でされているのでしょうか。

大前: 私の仕事のやり方は、マッキンゼーのときも、自分の仕事以外は「こうしろ」とはあまり言いませんでした。チームが持ってきたもので、気に入らないものがあったらビリッと捨てるだけです。

 当時マッキンゼーで一緒に働いていた人たちは、みんな私のことが怖かったと言いますが、あまり覚えていないですね。一方で、みんな育つことができたとも言ってくれます。 だから、基本的には自分が仕事をすることによって、結果的にまわりも仕事を覚えていくというやり方です。

 BBTではたぶん、みんな私が暴走していると思っているんでしょうけど(笑)。秘訣は、古い人を繰り返し繰り返し重用して、やってもらうことです。

 例えばこの経営者の話を聞きたいと思うと、担当者に伝えれば、全部コンテンツ化してくれます。経理は任せています。私はどこかで飲み食いしても、全部自分で出していますので、経理との関係はないです。そういう感じですね。

 だから私は暴走していないんです。彼らの上に乗っかって、ちょっとずうずうしいかもしれませんが、なんとなく右代表みたいな顔をしているだけです。

 一方で、新しいコンセプトを出すことはあります。先日、日本経済新聞の1面に、BBTの広告を出しました。広告の内容は、BBTを分かりやすく理解してもらうにはどうしたらいいだろうかと、社内で募集したんです。私が1面を買うから、そこにどういうものを作るか考えてくれと言ったら、30人が手を挙げてくれました。半年かけてやりましたが、これは盛り上がりましたね。

 社員が会社をどう見ているのかが分かりました。応募があったうちの一つに『BBTはもはや大前ではない』なんていうのもありましたけど(笑)。幸い審査員が入賞と決めたのは『大前研一は偉そうにしゃべっているけど、あいつも毎日勉強しているんだよ』というものでした。

 アイデアが出たらみんなで楽しむことです。本当に私はこの広告代を、自分で個人で出しました。そういう意味で、仕事は任せて、私はエンジョイしています。

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