静岡市は製材業と銘茶、そしてミカンで知られた町だが、近年は「模型の世界首都」を標榜(ひょうぼう)していることをご存じだろうか。プラモデルは第二次世界大戦後、欧米で爆発的にヒットしたプラスチックを原材料とする組立模型で、昭和から平成にかけて、男の子の遊びには必須のアイテムだった。日本では1958年に国産プラモデルが発売され、2018年に60周年を迎えた。
最近はプラモデルを作ったことのある子どもたちも減り、小売店もめっきり減ったというが、ところがどっこい、静岡は熱い。静岡駅前には「静岡ホビースクエア」というプラモデルの常設展示施設や博物館があり、毎年5月に催される「静岡ホビーショー」には子どもから大人まで8万人余りが訪れる。静岡は日本のみならず、世界をリードするプラモデル文化の発信地となっているのだ。
プラモデルというと、零戦や戦艦大和、タイガー戦車などのミリタリーモデルを思い浮かべる人も多いかもしれない。だが経済産業省の統計によると、売り上げベースでプラモデルが最高潮を迎えたのは、ガンダムとミニ四駆が大ヒットした1989年のこと。その年475億円の売上を記録したものの、その後顧客層の高齢化などによって漸減していたが、2007年を底にしてミニ四駆の再ヒットなどにより、16年には190億円まで回復している。
そして驚くのはそのうちの98億円が海外に輸出されていることである。この海外輸出の増加は、日本のアニメ文化にも支えられているという説もある。
その様子は5月8日から12日まで静岡市のツインメッセで開催された第58回静岡ホビーショー(主催・静岡模型教材協同組合)でもうかがえた。このホビーショーは今回新しく設けられた小中高生の招待日と、業者向け商談会、土日の一般公開に分かれているが、5日間で合計8万人余りが訪れた。
業者招待日には世界20カ国からバイヤーが訪れたという。バイヤーの中心は台湾、香港、タイ、インドネシアなどの東南アジアの国々だが、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスからも訪れている。そういった状況に、主催する静岡模型教材協同組合では、「静岡は模型の世界首都」というスローガンを掲げ、さらなる集客、販売をめざしているという。
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