そのような努力の甲斐(かい)あって、静岡には海外のバイヤーや代理店が訪れ、子どもたちも公開日には列を作って開場を待つホビーショーができ上がった。
「確かにインターネットやSNSの普及で、見本市に行かなくても新製品情報を得ることができるようになりました。でも実物を見て、触って分かることもある。さらにその場ではさまざまな人たちと交流し、情報を得ることができるわけです」
田宮理事長は見本市の効用をそう語る。では田宮理事長は新時代のプラモデルをどう考えているのだろうか。
「平成はゲームに負けた時代でしたが、令和はぜひプラモデルが一矢を報いたいですね。ゲームは確かに面白い。しかしプラモデルにはゲームにはない魅力があります」と力説する。
「プラモデルはとてもアナログな趣味です。自分の頭と手を使って、説明図を読み、カッターやニッパー、ドリルを使って組み立てていく。その過程で説明図にはない、自分なりの工夫や加工もできる。また仲間同士で作り方を巡って意見を交換するなど、コミュニケーションを交わすこともできる」
それゆえ、プラモデルにはモノ作り日本の基本が詰まっているというのだ。確かに毎週のようにさまざまな会場で開かれるミニ四駆の競技会には、子どもだけでなく家族連れも目立ち、熱心に“愛車”に手を入れている姿はほほえましくもある。
「ここからは組合の理事長としてではなく、タミヤというメーカーの社長としての考えですが、最初に1982(昭和57)年にミニ四駆も発売してから30年以上たちます。その間大きく売れたり、下火になったりを繰り返してきたのですが、ようやく近年安定して売れるようになりました。
一時的なブームに左右されないということでしょうか。でもそれには絶えざる新商品の開発と、地道なイベントの開催が不可欠です。いつの間にかミニ四駆はタミヤの大きな柱になりましたね。競技会に行くとお父さんと子ども、時には家族連れでミニ四駆を楽しんでいる。その光景を見ると私はうれしくてしようがない」
「加えて今回、私たちはプログラミングロボットの新しいキットを発売します。子どもに楽しみながらプログラミングを学べるロボットは、以前から出していましたが、今回のキットはPCから操作できるマイコンボードを搭載しています。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されるのに先んじて発売しました。このキットがどのように子どもたちに受け入れられていくか、楽しみですね」(田宮社長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング