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25歳で「がん宣告」を受けた営業マンが「働くこと」を諦めなかった理由――企業は病にどう寄り添えるのか新連載「病と仕事」(4/5 ページ)

» 2019年08月27日 05時00分 公開
[今野大一ITmedia]

「がんになっても他の人と変わらない」と伝えたい

 「がん告知をされたときに、いい家に住んで、いい車に乗って、結婚して子どもを作って……そんな将来が一気に消えたと感じました。治療を終えた後も漠然とした不安の中にいる感じで。

 そんな中、同世代のがんサバイバーと接する機会があり、ものすごい衝撃を受けたのです。自分は退院後1年半くらい、自分のがん体験をなかなか周囲に言い出せずにいました。気を遣われるのがイヤだったからです。一方で、がんサバイバーの人たちはインターネット上で自分の体験を積極的に発信していました。彼らの言葉を耳にするうちに心を動かされ、私も自分の感じたことを伝えることで、誰かの役に立ちたいと思うようになりました」

 自分の体験を発信することによって、自分と同じような経験をしている人たちの役に立ちたい。それは自分にしかできない「仕事」なのではないか――。

 鳥井さんは16年に転職し、現在はがんに関する研究や臨床試験などさまざまな医療情報を配信するがん情報サイト「オンコロ」を運営する3Hクリニカルトライアル(東京都豊島区)に勤めている。 

 「今は自社で開催するチャリティーライブの成功に向けてバタバタです。僕は集客に携わっていますから。がんの啓発に携わることには大きなやりがいを感じています」

 鳥井さんは9月1日に渋谷ストリームホールで開催するチャリティーライブ「Remember Girl’s Power!!」成功に向けて準備を進めている。このライブは、小児がんや「AYA世代」といわれる15歳〜39歳のがんと、治験に対する啓発を目的としたものだ。16年から開催され、19年で4回目になる。

photo Remember Girl’s Power!!」でトップバッターを務めるタレントの麻美ゆまさん(以下、アーティスト写真はがん情報サイト「オンコロ 」Remember Girl's Power 2019!!実行委員会の提供)
photo Remember Girl’s Power!!」で司会を務める元SKE48の矢方美紀さん
photo 鳥井さんが指定した事務所を訪問すると、矢方美紀さんの言葉が飾られていた

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