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ホリエモンが「東大卒ブランド」を捨てた理由――私はこうして起業家人生をスタートさせた堀江貴文の『捨て本』【前編】(1/5 ページ)

» 2019年10月26日 05時00分 公開
[堀江 貴文ITmedia]
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 本当にそれは必要ですか? 良くも悪くも、あなたの持ち物は重くなってはいないでしょうか。大切にしていた「はず」のモノで、逆に心が押しつぶされそうになってはいないか。だから、ビジネスも人生も「捨てる」ことからはじめよう。「これから」を、病まないで生きるために。

 僕は「時代の寵児」と呼ばれてから一転して逮捕・収監を経験しました。その後、令和元年、ついに日本初の民間ロケット打ち上げ実験を成功させることができました。その折々にあったのは「捨てること」「持たないこと」を徹底した思考法でした。

 もし、自分にある種の強さがあるとすれば、それは「捨てる」ことへの、ためらないのなさかもしれないと思っています。幼少期の原体験から東大、ライブドア時代と、久し振りに自身の半生をゼロから振り返った「原点」を新刊『捨て本』(徳間書店)に記しました。

 逆境にあっても未来を見据えながら、今を全身全霊で生きる。そのために、捨てるべきものは何か。持っていなければいけないものは何か。ライフハック、お金、仕事から人間関係まで、「所有」という概念が溶けたこの時代に最適化して、幸せに生き抜くためのメソッドをつづっています。今回はビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していきます。

phot 堀江貴文(ほりえ たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダーも務める。元ライブドア代表取締役CEO。2006年証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を下され服役。13年釈放。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。予防医療普及協会としても活動する。14年にはサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタートした。本書『捨て本』(徳間書店)以外の著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数

競馬にハマった学生時代

 僕は生来のギャンブル好きだ。

 学生時代、アルバイト先の先輩に誘われたのをきっかけに、どっぷり新しいギャンブルにハマってしまった。競馬である。最初の競馬で、一点張りが当たり、2万円の馬券が12万円弱に化けた。

 「なんだ、これは!?」。バイトで稼ぐ1カ月分のお金を、一瞬で得られた。その快感にとりつかれた僕は、以降1年ほど、ほとんどの時間を競馬に費やした。ハマり癖が悪い方に出たというべきか……。最初に誘ってくれた先輩も引いてしまい、みるみる負けがこんで、極貧生活になってしまった。1500円の手持ち金で1カ月を過ごさねばならないときもあった。

 大学4年になると、割と本気で「馬券で食っていこう!」と考えていた。学業からは、とっくに離れてしまっていた。生活の中心は、もう完全に競馬。それほど馬券が当たったときの金額のリターンと、得られる快感が大きかったのだ。しかし、世の中とのつながりが競馬だけになってしまうのは、さすがにまずいと思った。気付いたら成人していた。否が応でも、何か仕事に就かなければいけない。

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