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ホリエモンが「東大卒ブランド」を捨てた理由――私はこうして起業家人生をスタートさせた堀江貴文の『捨て本』【前編】(5/5 ページ)

» 2019年10月26日 05時00分 公開
[堀江 貴文ITmedia]
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面白そうな流れに身を任せた

 東京大学卒業という肩書を捨てることに、ためらいはなかった。

 いろんなところで述べているのだが、日本社会において東大は卒業してもしなくても、特に差はない。東大に入ったことが、大きな信用とブランドになる。それを僕はもう獲得していた。

 東大生ブランドという、実利的に得るべきものは得た。大学生活で、他に得るべきものは、もうなかった。やっと見つけた、本気でワクワクできそうなITビジネスを、始めるだけだった。せっかく4年生まで通ってもったいない……卒業ぐらいしておけばいいのに、と言われる。その「もったいない」という感覚が、僕には全然、理解できない。

 面白そうなことを始められるチャンスを先送りにして、行きたくもない大学に通い、学びたくもない勉強を修めなくちゃいけない時間の方が、僕には何十倍も、もったいなく感じられる。それはおかしいのだろうか?

 大学卒業を大事にして、勉強に励んでいる人を否定するわけではない。僕自身も、「卒業しなくて良かった」と考えているわけではないのだ。もし起業という、卒業にかかる手間や時間を捨てるにふさわしい、楽しそうなことが見つかっていなければ、とりあえず卒業には努めていただろう。

 あのとき、僕にはやりたいことの「流れ」が、やってきた。だから別にやりたくもない大学生の暮らしから降りた。降りたというより、面白そうな流れに身を任せた、それだけのことだ。

 「卒業しておけばよかったと悔しくなるときがあるよ」と、知人に言われたこともある。アドバイスとしては受け止めるが、起業以降、一度たりとも後悔はなかった。

 中退したときは、むしろ、これで学生の身分じゃないから堂々と馬主申請ができる! と大喜びした。そして数年後の1999年には、馬主になる夢をかなえられた。人の意見など聞かないものだと、心から思った。

著者プロフィール

堀江 貴文(ほりえ たかふみ)

1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダーも務める。元ライブドア代表取締役CEO。2006年証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され、実刑判決を下され服役。13年釈放。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。予防医療普及協会としても活動する。14年にはサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタートした。本書『捨て本』(徳間書店)以外の著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数


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