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「来なくていい」と言われても不安? 台風があぶり出す“会社員という病”河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)

» 2019年09月13日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

「会社に行くこと」が存在価値だと思ってしまう

 いったいなぜ、彼らは「不要不急」という言葉に震撼(しんかん)したのか?

 「忙しい人=仕事ができる人、ヒマな人=仕事ができない人」という価値観が骨の髄まで刷り込まれている会社員にとって、「不要不急の仕事しかない人=存在価値のない人」。

 「這ってでも来い!」と言われれば「休ませろ!」と訴えるのに、「休みなさい」と言われると「はい、休みます」とは素直に思えない。「忙しい〜」と悲鳴を上げている時には「ヒマになりたい」と願っていたのに、「ヒマになった」途端、不安になる。

 なんだかむちゃくちゃではありますが、自分の価値、自分の存在意義を欲する人間にとって、「会社に行く」という行為自体が、ときに自分の存在価値の証になる。まさに「会社員という病」です。

「会社に行く」という行為自体が存在価値の証になってしまう

 会社員でいることが目的になってしまうと、仕事をするのではなく、“会社員する”ようになってしまうのです。

 実は件の男性は、「自分の仕事には不要不急なものしかない」という事実を認めたくなくて、出社したそうです。すると、なんと驚くことに、結構な人たちが来ていて「取りあえず来た」と、互いに笑いあったと教えてくれました。

 ……これってめちゃくちゃ日本人っぽい。海外ではめったに見られない光景であることは間違いありません。

 そもそも不要不急じゃない仕事とは何なのでしょうか?

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