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沖縄でIT識者が激論! どうする、どうなる、IT後進国ニッポン長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」in 沖縄(2/3 ページ)

» 2019年09月18日 08時00分 公開
[酒井真弓ITmedia]

「沖縄は米軍基地があるから潤う」は幻想?

友岡: 沖縄って台湾も近いけど、米軍との関係で日常生活に英語が結構入ってきていて、いきなり海外に出てもおかしくないイメージだった。

齊藤: 僕もそのイメージだったよ。

喜多羅: いわゆる“内地”に住んでいると、沖縄のイメージって本土復帰した1972年前後で止まっているかもしれない。僕らが普段イメージしている沖縄と、住んでいる人にとっての沖縄、米国という国や基地との距離感――ホントのところ、どうなんだろう?

米須: 米国は海の向こう側、基地はフェンスのすぐ隣。僕の中ではそういう距離感だね。

Photo サイオンコミュニケーションズの米須渉氏

喜多羅: 米軍基地があることのリアリティーって、沖縄の人の仕事や生活にどう影響しているの?

米須: 私は、米軍基地や関連施設が、狭い沖縄の土地を取りすぎていると思っています。米軍基地の多くは好立地。そこで100人雇うより、返還してもらって商業施設を作った方が税収は上がるはず。

喜多羅: なるほど。いかに集中して経済を効率よく回していくかと考えたときに、米軍基地が黒塗りでブロックしているところのインパクトは大きいのかもしれないね。

※沖縄には日本全体の米専用施設の約70%が集中し、沖縄本島の約15%(東京23区のうち13区を覆う面積)を占めています(沖縄県の資料より)。

米須: 米軍基地があることで潤っている人がいるのは事実です。でも、沖縄県が出しているデータでは、観光業や情報通信業が伸びていて、経済における米軍基地への依存率はかなり下がっているんですよ。米軍基地があることの経済的なメリットって、昔ほどではないわけです。

Photo

小島: 「ビジネスに使いたいから返還してほしい」という意図は伝わってているの? 返還された後、どうしたいという話を聞いたことがないんだけど。

米須: 例えば、2019年の夏にオープンした浦添市の「パルコシティ」は、返還跡地にできた商業施設です。北谷町の「ハンビータウン」や北中城村(きたなかぐすくそん)の「イオンモール沖縄ライカム」もそう。返還された土地に商業施設ができて、経済効果と活気を生んでいるんですよ。

小島: なるほど。それはもっと報道された方が良い気がするね。返還の意義って、「沖縄の気持ち」や「負担軽減」という文脈で語られることが多いから、経済合理性があるとは思っていなかったよ。

喜多羅: 今、話していて感じるのは、僕たちが普段触れているメディアが取材して報じていることって、やっぱりすごく限られているんだなということ。

友岡: 僕ら、今まで「沖縄は米軍基地があるほうが、もうかる」と思い込んでいたからね。

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