IEO、DApps……ブロックチェーン技術、あなたはどれだけ理解している?(2/2 ページ)

» 2019年09月27日 16時33分 公開
[斎藤健二ITmedia]
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業界内で注目の「STO」「IEO」「NFT」

 認知や理解はこれからだが、昨今しばしば業界内で聞く言葉もある。「セキュリティ・トークン・オファリング(STO)」は、ICOに代わる資金調達方法として19年のトレンドになっている。セキュリティは有価証券の意味で、株式などの証券に裏付けされたトークンを発行して資金を得る手法だ。

 近いものとしては、ICOの発展型ともいえる「イニシャル・エクスチェンジ・オファリング(IEO)」もある(記事参照)。これは、仮想通貨取引所=エクスチェンジが間に入って審査などを行うICOのことを指す。詐欺的なものもあったICOへの反省を踏まえ、取引所が審査を行うことで信用性を高めることや、販売したトークンを取引所が取り扱う(上場)ため、流動性が高まるという特徴がある。

 DApps(記事参照)で動くゲームに関係してしばしば言及されるのが「ノンファンジブルトークン(NFT)」だ。これは1つ1つが固有の価値を持つトークンのことを指す。DAppsゲームとして有名な「クリプトキティ」の猫や「くりぷ豚」の豚などは、一つ一つがトークンだが、同じものはなくそれぞれ個別の価値を持つ。金融庁はNFTは仮想通貨に当たらないという見解を出しており、今後の展開が期待されている。

 今回の調査にも使われた「ライトニングネットワーク」も、注目が高まっている技術の一つだ。ビットコインなど仮想通貨の送金では、送金記録をすべてブロックチェーンに記録していくが、10分ほどの時間がかかる、少額の送金では手数料負けする、トランザクション容量がひっぱくするなどの課題があった。そこで送金処理をブロックチェーンの外で行い、ある程度のトランザクションがたまった時点でブロックチェーンに記録する仕組みの開発が進んでいる。ブロックチェーンの外で処理を行うため「オフチェーン」などとも呼ばれる。この、ビットコインのオフチェーン上で送金を行う仕組みの1つが、ライトニングネットワークという技術だ。

匿名で少額高頻度の送金が可能になると

 ガートナーが19年2月に行った調査では、「ブロックチェーンを理解している経営層は16%」という結果が出た(記事参照)。しかし、次々と新技術が登場するブロックチェーン業界で、最新動向にキャッチアップしていくのは容易ではない。ライトニングネットワークを利用するギーク層でも、「単一障害点が排除されたデータベース」「分散型金融(DeFi)」「NFT」などの用語については、理解が2割程度にとどまっている。

マクロミル 統合データプロダクト本部デジタルマーケティング事業部の斎藤司氏(左)とHashHubの平野淳也氏(右)

 今回の調査は、マクロミルモニター2060人、ギーク層353人に対し、19年8月に行われた。

 なおギーク層向けの調査では、設問への回答に対する謝礼の送付方法として、ライトニングネットワークを使った。これまでの調査では、ユーザー登録をしてもらい、ポイントなどで謝礼を支払うのが普通だ。しかしライトニングネットワークを使うと、「会員登録しなくてもビットコインを配れる。取引所のアカウントではなく、ユーザー自身のウォレットに付与される。小さな仕事の単位、例えば設問に1問答えるごとにビットコインがもらえるという実装も可能だ」(HashHubの平野淳也CEO)という特徴がある。

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