世界初の乗りもの「DMV」 四国の小さな町は“新しい波”に乗れるか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/6 ページ)

» 2019年10月04日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 18年3月の第3回協議会では車両発注や駅舎改築の進捗が報告され、鉄道モードの信号設備、バスモードの検討が行われた。また、17年から実施している「DMVわくわくイベント」を引き続き実施し、導入機運の醸成を図る。

 18年4月、阿佐海岸鉄道はDMV車両3台の塗装デザインと愛称を一般公募。19年1月に「未来への波乗り(車体色ブルー)」「すだちの風(車体色グリーン)」「阿佐海岸維新(車体色レッド)」が発表された。

 19年1月の第4回協議会では、事業費の見込みと修正が報告された。鉄道区間は当初予定されていた「スタフ(通票閉塞)式」を取り下げ、自動停止(ATS)機能を備えた「DMV運転保安システム」の導入が決まった。ハード面の完成、牟岐線編入手続き、バスモードの事業計画、完成車両を使ったPRイベントの実施が了承された。鉄道ファンとしては、絶滅しつつあるスタフ方式の新規採用が興味深かったけれど、安全面を重視すると仕方ない。

 ※スタフ方式……鉄道の1区間について1つだけ用意される金属製の通行票。「スタフを持つ列車だけがその区間を走行できる」と定めて衝突を防ぐ。通行票を円盤とし、機械と電信を組み合わせて管理する方式がタブレット方式。タブレット方式の簡易版がスタフ式。

甲浦駅(2006年4月)
甲浦駅(2019年9月)。DMVが上下するスロープの工事が始まっている
横から見るとスロープが回り込む様子が分かる

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